頭部外傷による聴覚障害の臨床的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
過去3年間における頭部外傷例について考察, 本稿では耳科学的並びに聴力検査の結果を報告した.<BR>1) 自覚症状, 耳鏡所見, レ線所見, 性及び年令, 受傷原因, 受傷部位及び受傷程度 (荒木氏の分類) につき統計的に検討した.<BR>2) 外傷による聴力障害の性質を上記の点につき総体的に検討した.<BR>3) 110例に対し自記オージオメトリーを施行し, 2, 3の知見を得た.<BR>結論としての要旨は次の如くである.<BR>1) 純音聴力検査では対象例 (160例) 中136例85.0%に難聴をみた. 伝音性及び感音性障害の両者がみられた.<BR>2) 聴力損失の程度及び性質は受傷部位とは関係なく, 受傷程度とは関係がみられた.<BR>3) 自記オージオメトリーではJergerの分類基準に従つて5型に分類, 対象例110例中, I型が52.7%, II型31.4%, III, IV型が15.9%であり, V型はみられなかつた.<BR>4) 自記オージオメトリーで, III, IV型の出現は受傷部位とは関係なく, 受傷程度とは関係がみとめられた.<BR>5) 頭部外傷による聴力障害の特長は, その性質, 程度に多様性を示し, 他の原因による難聴のごとく一定の傾向がみられなかつた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
関連論文
- Hunt症候群の1例 : 特にその聴覚障害の時期的推移について
- 頭部外傷による聴覚障害の臨床的研究
- 側頭骨縦骨折の臨床的研究
- 頭部および頸部外傷の耳科学的ならびに神経耳科学的研究
- 頭部外傷における頸性「めまい」発現機転に関する考察
- 頭部外傷後遺症に対するルシドリール使用経験;特に大後頭神経ブロックによる治療効果との比較観察