前庭核ニューロンの放電様式に関する実験的研究 : 自発放電と冷水刺激による放電頻度の変化
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概要
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前庭内側核ニューロンの活動を, encephale isoleを施行したネコで研究した. 自発放電は大多数が1個のインパルスの継続した放電といつたものであつたが, 少数において3〜4個のインパルスが群をなして放電を繰返すというpuls-train型が認められた. 自発放電の頻度は, 1秒間2放電から75放電にわたっていたが, 約80%のニューロンが1秒間25放電以下という低頻度放電を示した.<BR>これらのニューロンは, 0℃の冷水10mlの鼓室注入という刺激に対して, それぞれ放電頻度の増加, 減少, あるいは不変をもって反応した. すなわち, 記録側の耳の刺激では, 放電頻度の減少したものが, 全体で102個のニューロンのうち55個, 増加したもの28個, そして不変のもの19個という結果が得られた. 反対側の耳の刺激では, 放電頻度の減少したもの15個, 増加したもの60個, そして不変のもの27個となった.<BR>冷水刺激に対する反応形式により, これらのニューロンは5つの型に分類された. クプラの運動を反映するType IとType IIに属するニューロンの自発放電頻度は, 1秒間25放電以下という低頻度放電にあるものが多かった. 一方Type III, IV, Vに属するニューロンの自発放電は一秒間3放電から60放電まで一様の分布をしていることが認められた.<BR>冷水刺激によって変化した放電頻度は, 30秒から350秒ののち, ほぼ刺激前の頻度に復した. しかして記録側の耳の刺激の際は大凡80%のニューロンが, 反対側の耳の刺激の際は大凡85%のニューロンが, 150秒以内に刺激前の放電頻度に復することがわかった.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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