空間記憶に及ぼす身体運動による選択的干渉および促進効果:眼球運動との比較に基づいて
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概要
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藤木・菱谷(2010)では,視覚によって符号化された空間情報のリハーサルに対し,眼球運動のみが関与し,身体運動は関与していないという研究成果を提出している.しかし,身体感覚によって符号化された空間情報のリハーサルに対し,身体運動と眼球運動の両方が関与しているのか,それとも身体運動が選択的に関与しているのかという問題については不明である.そこで,本研究は,手指の移動方向を記憶する課題を用い,この問題を検討する実験を二つ行った.その結果,実験1では,身体感覚によって符号化された空間記憶に対しては,身体運動のみが干渉し,眼球運動は干渉しなかった.実験2では,10秒後に再認する場合,身体運動リハーサルを行った場合においてのみ促進効果が生じた.こうした実験結果から,身体感覚によって符号化された空間情報のリハーサルには,眼球運動は関与しておらず,身体運動のみが関与していることが示唆された.
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