テトラサイクリン類の比色定量
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概要
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1952年Woodward教授らとPfizer社の化学者の協力により,テラマイシンの構造が確立され,つづいて同年Lederle研究所のWaller,HutchingsらおよびWoodwardらによりオーレオマイシンの構造が決定され,これらはいずれも次式のようなテトラサイクリンの骨格を持っていることがわかった.そして翌年Conoverらによってパラジウム還元によってオーレオマイシンからテトラサイクリンが作られた.<BR>R<SUB>1</SUB>=Cl,R<SUB>2</SUB>=Hクロールテトラサイクリン(オーレオマイシン)(CT)<BR>R<SUB>1</SUB>=R<SUB>2</SUB>=Hテトラサイクリン(アクロマイシンまたはテトラシン)(T)<BR>R<SUB>1</SUB>=H,R<SUB>2</SUB>=OHオキシテトラサイクリン(テラマイシン)(OT)<BR>これらの抗生物質類は広い抗菌スペクトルを有し,また卓越した治療効果を有するので,これら抗生物質類の正確な分析法を確立することはきわめて重要である.<BR>従来すべての抗生物質の効力試験には微生物学的方法が唯一の定量法として行われた.すなわち希釈法,比濁法,拡散法(カップ法,重層法あるいはpaper disk法など)のような細菌に対するテトラサイクリン類の阻止作用によって効力が測られた.この理由は抗生物質類はその発見の初期においては近縁化合物の混合していることもあり,従って効力単位に重きをおかなければならなかったためである.<BR>それゆえ,テトラサイクリン類においても微生物学的定量法は公定法にも採用され,主要な定量法をなしてきた.そして微生物学的方法と比色法または比濁法を併用する方法も近来盛んに行われるようになった.<BR>しかしながらテトラサイクリン類のごとく純品が得られるものにおいては当然化学的定量法も可能であるはずである.理化学的定量法は迅速に実施し得られ,かつ簡便であるので最近多数の報告が現れるようになった.これらの理化学的定量法のうちには鋭敏度がきわめて高く,また高い特異性を有するものもある.理化学的定量法は以上のごとく多くの利点を有し現在発展の途上にあるのであるが,最も致命的な点は微生物学的方法に比例しないことがあることである.この理由はテトラサイクリン類の安定度にも原因するのであるが,すなわちクロールテトラサイクリン,オキシテトラサイクリンは水溶液を加温したりpH=6〜8において15〜60℃に放置すると抗菌作用は急変するにもかかわらず,ある種の化学的定量法ではこの程度の微細な化学変化を見出すことができず,従って化学的定量法と抗菌試験法とが比例しない結果を出すようになることがある.<BR>従ってテトラサイクリン類に限らず効力を代表する薬品類の定量に際しては薬品の化学的物質としての定量以外に効力に比例する定量分析法を案出することがきわめて重要である.<BR>まず微生物学的定量法のうち比濁,比色に関係あるものを簡単に挙げついで理化学的定量法を解説することにする.
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