12 水質分析
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概要
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本進歩総説は1965年から1968年末までの4年間に発表された文献で主として淡水,海水の分析を目的としたものに基づくが,重要と思われる文献に上記の期間外のものも参照した.廃水,汚濁水についてはそれぞれの元素について述べたが,詳しくは1970年度版に述べる予定である.なお,海水は特に近年重要となってきたので別に取り扱った.<I>Anal.Chem</I>.誌には2年ごとに水質分析に関する非常に広範な総説が報告されるが,1967年には625編の文献が,また1969年には669編の文献が紹介されている.ほかに廃水と水質分析についての総説も報告されている.<BR>そのほか水質改良に関連してその指標となる成分の分析法や原子炉冷却水の分析法についての報告もある.<BR>これらの文献を通覧して感じられる特徴は,今日水質分析によく利用されている有力な方法はフレーム分析法,原子吸光法,吸光光度法,ポーラログラフ法などで,最近ではけい光X線法,イオン電極を用いる電位差滴定法なども用いられるようになっており,全体として水質管理に関連する水質分析の自動化の傾向がますます明りょうになってきたことである.<BR>これらの方法のなかで原子吸光法についてはその原理,使用法,改良法などの総説がある,原子吸光法と他の化学分析法を比較して通常の水中のアルカリ,アルカリ土類および金属イオンについてはこの方法が有利であるとの報告や河川水や沿岸水につき各14種の成分を分析してこの方法の有用なことを示した報告もある.しかしナトリウム,カリウムなどについてはフレーム分析のほうが適しているので両方を用いて効果をあげている.ポーラログラフ法についての総説では陽極ストリッピング・ポーラログラフ法やlinear sweepvoltammetry法は感度がよいのでppb程度の重金属成分の分析に有効であることが述べられている.交流ポーラログラフ法によるアルカリおよびアルカリ土類の分析法につき種々の条件を検討したもの,水中の種々の金属不純物の全量をポーラログラフを用いる間接法により自動的に分析したものがある.けい光X線法の水質分析への応用についてはKabererの総説がある.利点は試料を変質させることなく多くの成分を迅速に定量できる点にある.感度は成分により違うが濃縮すればほとんどの重金属に応用できる.また金属を硫化物の薄層としてけい光X線法による方法につき,試料の濃縮法,妨害などについても述べられている.発光スペクトル法は多種の成分を同時分析できる点が有利であるが,回転円板高圧弧光法により天然水中の19種の微量成分を約1分間で分析してその濃度を直接続み取れる装置が報告されている.また同様に天然水中の13種の金属成分の定量および重金属の定量とマンガンの影響についての報告がある.pH3および9でジチゾン抽出して13種の金属を抽出分離し,薄層クロマトグラフ法により分離検出した報告もある.<BR>天然水,廃水の水質分析のオートメーシヨンに関しても報告されている.
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