生体必須微量重金属元素と海洋の化学環境 : 生物進化と Mussel Watch
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
少なくとも一種類の生物種にとって, その生命活動に必須であることが証明された化学元素を私どもは生体元素と呼んでいる.今から約35億年前, 生命は海水の中で誕生したといわれている.その海水中にほんの僅かしか含まれてはいない微量重金属元素, 特に遷移元素を生物は触媒の活性中心として生命活動に必須なものとして用いてきた.化学進化や生物進化と重金属元素は切り離せるものではない.生命の歴史を考えるうえで生命が誕生し, その初期の進化をとげた海水環境における重金属元素濃度の変遷は当然物語られなければならない.地球生物の歴史の35億年という年月を経た1981年という現時点で, 海産生物中に含まれる重金属元素量は, 人間活動と海洋との接点である沿岸海洋域の化学環境モニタリングに使われるべきであるという主張が国際的に動かせないものとなったという現実がある.私は重金属元素を第1話では生物進化という多分にロマンに満ちた歴史物語と関連させ, そして第2話ではそれこそ一転して大変現実的で生々しい環境監視と関連させ, 生体中の重金属元素にまつわるそれら2つのトピックスを特に関連づけるようなことはしないで, 並列してそれぞれを語ることにする.
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
著者
関連論文
- 環境分析における標準物質と分析値の精度に関する研究
- 炭酸塩の化学-サンゴ年輪ワークショップに出席して
- 私の研究遍歴 : 温泉から地球環境問題へ
- 日本地球化学会の-会員として歩んだ50年
- 総論
- 地球と水(水 : この不思議で普遍的な液体)
- 化学の目でみる地球像
- 炭酸塩堆積物(海の化学)
- 地球温暖化防止の国際的動向-京都COP3に参加して-
- 地球環境 における炭酸塩物質に関する研究
- 地球生物の生存環境と水
- 分析化学のあゆみ--分別溶解法の導入
- 海の生物の石灰質殻中の微量元素含有量を規定する因子について
- 南極ライト谷における塩類の起源(英文)
- 大気と海はどのようにしてできたか(化学への招待)
- バンダ湖における塩収支について(英文)
- Calcite Formation in Calcium Chloride Rich Water
- ドンファン湖盆の塩類の化学成分の起源について(英文)
- Selective Chemical Leaching of Iron, Manganese, Copper and Cadmium in River Sediment at the Eruption of Mt. Ontake
- 分別溶解法によるドンファン池のコア堆積物中の鉱物種への化学元素の分配について(英文)
- 地球化学的に見た海水の量と質の変遷 : 地球の進化と海水の役割
- 元素の地球化学的収支からみた沿岸海洋(シンポジウム:人間活動と沿岸海洋)
- 地球科学的にみた化石物質 - 炭酸塩鉱物の物性から古代環境を推定する手法 - について
- 初期地球の表面環境 (進化と誕生--物質進化に学ぶ)
- 河口域の地球化学(総説) (河口域)
- 大気中の二酸化炭素問題--特集を組むにあたって (大気中の二酸化炭素)
- 生体必須微量重金属元素と海洋の化学環境--生物進化とMussel Watch (「生体関連微量金属をめぐる最近の話題」特集号)
- 生体元素の循環(シリ-ズ・Life Chemistry)
- 生体必須微量重金属元素と海洋の化学環境 : 生物進化と Mussel Watch
- 敦煌周辺の天然水と中国の砂漠の析出塩の化学組成
- 地球化学の目でみる炭素の循環
- 12 水質分析
- 炭酸塩の化学 : サンゴ年輪ワークショップに出席して(サンゴ年輪と低緯度の海洋環境)
- 日本地球化学会の一会員として歩んだ50年
- 地すべり地帯の地下水の水質.I. : 新潟県東野名および湯本地域
- 河口域の地球化学(河口域)
- 大気中の二酸化炭素問題 : 特集を組むにあたって(大気中の二酸化炭素)
- 菅原健先生のこと
- 13 水質分析
- 淡水および海水中の溶存酸素測定法
- 地球環境における炭酸塩物質に関する研究(1996年度柴田賞受賞記念論文)
- 47・7豪雨による西三河山腹崩壊地域の天然水の水質
- タイトル無し