アルゴン送気融解電量滴定法によるチタン中の酸素定量
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概要
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チタン中の酸素を簡便,迅速かつ高精度で定量する方法として,鉄-スズ浴を用いたアルゴン送気融解電量滴定法について,分析条件,分析時間などにつき検討した.本法において適切な量および組成の金属浴で満たしたるつぼを,試料の分析ごとに交換するという手法を用いることは,ガス抽出を完全にするうえで効果的であった.このためには,従来のものよりも小型のるつぼおよび内容積の小さな黒鉛抵抗炉を用いた.従来の高周波加熱炉を用いて試料を連続的に投入していく方式ならびに上記黒鉛抵抗炉を用いて毎回分析ごとにるつぼを取り替える方式とで,それぞれの方式における試料からのガス抽出効果につき比較を試みたところ,前者においては,第1番めの試料についてはほぼ満足できる分析値が得られるが,第2番め以降は,しだいにガス抽出が困難となり分析値の大幅な低下が認められたのに対し,後者の方法によれば常にほぼ完全なガス抽出と良好な再現性が得られた.炉内における試料の融解条件につき調べた結果,次の点が明らかとなった.すなわち試料0.2gに対し金属浴として鉄のみを使用する場合には分析値は大幅にばらつくが,1.5g以上の鉄および0.7gのスズを使用すれば,分析精度は大幅に改善される.また融解温度は1900℃以上必要である.しかし融解時間については注意を要し,浴の固化を避けるために10分以内におさえる必要がある.本法による分析結果は,真空融解-白金浴法の値と良好な一致を示し,1試料あたりの分析所要時間はるつぼの脱ガスを含め10分で足り,精度は変動係数で2〜4%であった.本法は日常分析法として適した方法であるといえる.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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