三俣大雪崩発生跡地の林況調査
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概要
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1918年1月9日に大きな表層雪崩が発生して死者158名を出した新潟県南魚沼郡湯沢町字三俣の斜面において, 1971~1972年に地形と林木の状態を調査した.<BR>1) 大雪崩が発生した斜面はWSW向きで, 冬期季節風の風下側となり, 山頂付近の斜面傾斜は風上側で平均26度, 風下側で約40度であるため, 雪庇が発達しやすい.<BR>2) 山頂および斜面上部の林木の成育は悪く, 積雪期にはほとんど埋雪状態となる.一方, 斜面の中腹以下では凹地形を除いては成育が良好で, 胸高直径は平均10~15cm, 立木の本数密度はha当り1000~4000本に達し, 普通の森林状態になっているが, 凹地形のところでは埋雪状態になっている.<BR>3) 三俣および三俣周辺の積雪観測所の資料より推定すると, 1918~1971年までの53年間に, 1918年の雪崩発生時とほぼ同じ降雪 (連続増加積雪深150cm以上・降水量換算で200mm以上) の回数は10回あったが, 記録に残るような雪崩は発生していない.<BR>4) 山頂および斜面上部の森林の成育状態が1918年当時と大差なく, 毎冬山頂部に雪庇が発達していることを考えると, 現在でも雪崩発生の危険性があり, 山頂部に雪庇防止対策を講ずる必要がある.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
著者
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