バリウム製剤により惹起されたと考えられるアナフィラキシーショックの1例
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概要
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胃X線検査時にアナフィラキシーショックを来し,その原因がバリウム製剤の添加物によるものと判断された1症例を報告した.症例は50才,男子で,昭和55年10月胃集団検診でX線検査を受けた.その際,約1時間後,全身に膨疹が出現,引き続きショック状態となつて緊急入院し,数日後には軽快退院した.その後胃の精密検査を指示されたため,当科で再検査を実施したところ,約10分後に前回と同様の膨疹が現われ再びショック状態となつた.このような2回のエピソードは,いずれも胃X線検査に引き続き発現しているため,バリウム製剤または発泡剤によるアナフィラキシーショックを疑い,バリウム製剤に含まれる8成分,および発泡剤に含まれる3成分のパッチテストを施行した.その結果,バリウム製剤に含まれるトラガント,アルギン酸ナトリウムおよびデヒドロ酢酸のみが強陽性を示した.したがつて,このようなパッチテストの成績および2回にわたるショック症状の発現,臨床経過から,本例はバリウム製剤の添加物が原因となつたアナフィラキシーショックと判断された.著者らの調べたところでは,現在一般に使用されているバリウム製剤でのこのような事故の報告はみあたらず,極めて希な例と考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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大西 泰憲
香川県立中央病院内科
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玉尾 博康
香川県立中央病院内科
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木津 裕州
香川県立中央病院内科
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長花 晴樹
香川県立中央病院内科
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長花 晴樹
香川県立中央病院
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藤原 和美
香川県立中央病院内科
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原 泉
香川県立中央病院内科
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