偽性特発性副甲状腺機能低下症の1例
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概要
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特発性副甲状腺機能低下症と類似の臨床像を呈するにもかかわらず,血中副甲状腺ホルモンが正常か高値であり,かつEllsworth-Howard試験にて,尿中cyclic AMPおよび尿中Pの排泄増加をきたす疾患は,偽性特発性副甲状腺機能低下症と呼ばれ,極めて希な疾患である.本疾患の病因は,自己免疫が考えられているが未だ解明されていない.著者らは本邦3例目の本症を経験したので,その概要を報告する.症例は, 49才,男性. 15才頃から手足のしびれ感を訴えていた.昭和56年3月当科受診し,低カルシウム血症を指摘され,精査のため入院となつた.理学的所見にて低身長,肥満,円形顔貌を認めたが,手指に異常を認めなかつた.骨X線写真を含む種々の検査にて低カルシウム血症をきたす他の疾患は除外された.血中副甲状腺ホルモンは,正常又は高値であり, Ellsworth-Howard試験における尿中cyclic AMPおよび,尿中Pの排泄は正常であつた.以上の成績より偽性特発性副甲状腺機能低下症と診断し,活性型ビタミンD経口投与により血中カルシウムは正常化し,症状も消失し,第36病日目に退院した.本症例は血中の副甲状腺ホルモンを, N, C末端および中央部分(mid-piece)を全て測定し,いずれも正常又は高値であつた点より,血中に活性型副甲状腺ホルモンがペプタイドの量として低下又は欠如しているという考えは否定された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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清水 昌人
時計台記念病院リウマチ膠原病センター
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芝木 秀俊
北見赤十字病院内科
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清水 昌人
北海道内科リウマチ科病院
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清水 昌人
北見赤十字病院
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沖 一郎
北見赤十字病院
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清水 昌人
札幌山の上病院 リウマチ膠原病センター
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今野 孝彦
北見赤十字内科
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清水 昌人
北見赤十字病院内科
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