経気管支肺生検により肺組織中に金微粒子を証明しえたgold lungの1症例
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概要
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症例は65才,主婦. 54才時に慢性関節リウマチと診断され,消炎剤の投与を受けていた.昭和55年10月全身の関節痛増強を主訴に入院した.慢性関節リウマチの診断の下に金製剤(gold thiomalate)を4ヵ月間,計365mg投与した時点で頻脈につづいて発熱,呼吸困難が出現し,胸部X線像上両側中下肺野にびまん性斑状,網状陰影の出現,血液像で24%の好酸球増加をみた.喀痰中に一般細菌,真菌,結核菌は証明されず,臨床経過よりgold lungを考え金製剤の中止とステロイド薬の投与を行ない急速に臨床症状,胸部X線像,肺機能および血液ガスの改善をみた.症状出現1ヵ月後の経気管支肺生検で得られた組織片は光顕的には,間質性肺炎の像を呈していた.この組織片の分析電顕結果は,電子密度の高い0.1〜0.3μの集合塊が視野の1ヵ所に局在し,その特性X線スペクトルより金の微粒子であることが確認された.経気管支肺生検により金微粒子を証明し得たgold lungの本邦第1例と考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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竹内 秀夫
国立高崎病院内科
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北村 諭
東京大学医学部第三内科
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土屋 幸彦
国立高崎病院
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桜井 文雄
国立高崎病院内科
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藤沼 秀雄
国立高崎病院内科
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安里 洋
国立高崎病院内科
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五十嵐 秀夫
国立高崎病院内科
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北村 諭
東京大学医学部第3内科
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