極端な高IgE血症を伴つたSézary症候群の1例 : IgEクラス特異的ヘルパーTリンパ球の腫瘍性増殖
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
全身性リンパ節腫大と7年来の全身性紅斑と, 564000IU/mlという極端な高IgE血症を伴つたSézary症候群の1症例を経験した.白血球数は45, 200/mm3で,うち51%が雛襞形成,分葉傾向の強い異常リンパ球で占められていた.皮膚にも同様の異常リンパ球が浸潤しており,この細胞は透過電顕で観察すると深い切れ込みのある核を有していた.末梢血リンパ球(PBL)中,ヒツジ赤血球とロゼットを形成する細胞は94.2%で, Tリンパ球分画ではLeu 2a+細胞は1.0%, Leu 3a+細胞は100%, Leu 3b+継胞は98.2%であつた.この患者PBLからT, Bリソパ球を分離し, in vitroで種々の混合培養試験を行ない,産生されたIgG, IgA, IgM, IgEをradioimmunoassayで定量すると,患者Bリンパ球(PB)はpokeweed mitogen, Tリンパ球の非存在下で多量のIgEを産生し,このIgE産生は正常丁リンパ球(NT)によつて抑制されることがわかつた.患者Tリンパ球は正常Bリンパ球の1gE産生を著しく高めたが, IgG, IgA, IgMの産生についてはNTよりも弱いヘルパー活性しか示さなかつた.以上のことから,本症例でみられた異常なリンパ球の増加はIgEクラス特異的ヘルパーTリンパ球の増殖によるものであり,同時に観察された高IgE血症はおそらくこのヘルパーTリンパ球によつてPBがポリクロナールに活性化されたためにおこつたものと考えられた.ヒトIgE産生機構について最近の知見を含めて考察を加えた.
著者
-
河野 文夫
熊本大学医学部第二内科
-
満屋 裕明
熊本大学医学部
-
藤本 幸示
熊本大学医学部第二内科
-
佐藤 昌彦
熊本大学医学部第二内科
-
平野 俊夫
熊本大学医学部免疫医学研究施設免疫生化学部門
-
岸本 進
熊本大学医学部第二内科
-
岸本 進
熊本大学医学部第2内科
関連論文
- P1-175 R-CHOP(R-THP-COP)療法の副作用調査ならびに調査結果を踏まえた患者向け説明書作成の取り組み(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(入院化学療法),医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- 総合ビタミン剤マルタミンなどの溶剤(HCO-60)によるアレルギーを来した急性白血病
- 20-P1-092 イトラコナゾールの併用により塩酸イリノテカン誘発の下痢症状が重篤化したと推察される成人T細胞性白血病の一症例(薬物相互作用,来るべき時代への道を拓く)
- P-34 サイエンスが直面する難題を有機化学の基本でブレークスルーする : Part II,画期的抗HIVヌクレオシドの創製(ポスター発表の部)
- 耐性HIVを発現させない低毒性逆転写酵素阻害ヌクレオシドの創製研究
- 140(P-96) 多剤耐性HIVに有効なヌクレオシドの創製(ポスター発表の部)
- 新聞広告と連携した被験者募集の取り組み(2) : CRCの立場から
- 新聞広告と連携した被験者募集の取り組み(1) : 事務局の立場から
- クリニカル・リサーチ・コーデイネーター (CRC) およびデータ・マネジャー (DM) による臨床研究の支援
- 25-A6-36 プロトコールマップよるインフォームドコンセント改善の試み
- 定量的PCRによる新しい遺伝子発現プロファイルシステムの構築 : 臨床および創薬への応用
- 易感染宿主をいかに守るか
- 2 サプレッサーT細胞機能 : 抗リンパ球抗体を利用したサプレッサー : T細胞機能の検討(1 ヒトの免疫機能の測定法)
- ヒト末梢血リンパ球のCultured Spontaneous Cell Mediated Cytotoxicity(CSCMC)に及ぼすNocardia Rubra Cell Wall Skeleton(N-CWS)の効果 : CSCMCとNK活性の異同について
- 免疫強化療法の現状
- 免疫不全と肺感染 (肺炎と気管支炎)
- S19-PL AIDSの臨床・診断と治療薬の研究・開発(シンポジウムS19 広がるHIV:専門薬剤師の役割,医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- 熊本大学医学部附属病院における治験についての教育・啓発活動の実際 : 治験支援センターニュース発行の効果
- P-136 HIV感染症診療-チーム医療-における薬剤師の取り組み(6.服薬指導(入院・外来)1,医療薬学の未来へ翔(はばた)く-薬剤師の薬剤業務・教育・研究への能動的関わり-)
- 医療情報システムデータベースを活用したCRC業務支援システム
- エイズ世界の現況 : AIDSに対する化学療法と南北問題
- HIV感染症の診断と治療
- AIDS発生病理とその治療:明日への課題
- HIV-1感染症治療の現状と課題 : 薬剤耐性HIV-1変異株の出現
- HIV感染症「治療の手引き」-1998年暫定版まとめ
- エイズ治療の進展とその課題-薬剤耐性HIV-1変異株の出現とその対応-
- エイズの化学治療の最近の進歩
- HIV-1感染症治療の新展開
- エイズの化学治療の最近の進歩
- エイズの化学療法-最近の進歩
- エイズの化学療法-最近の進歩
- 21-P1-102 患者背景の変化に対応したHIV感染症患者への服薬支援業務(薬剤管理指導業務,来るべき時代への道を拓く)
- 造血因子 血小板造血因子-トロンボポエチン (c-Mp1リガンド)
- 原発性免疫不全症におけるB細胞増殖能
- P-0072 悪性リンパ腫化学療法レジメン毎の副作用発現状況に関する調査研究(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(入院化学療法),Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 極端な高IgE血症を伴つたSézary症候群の1例 : IgEクラス特異的ヘルパーTリンパ球の腫瘍性増殖
- 免疫不全症の病態解析 (免疫異常症とその制御)
- 胃癌を合併したcommon variable hypogammaglobulinemiaの1症例
- 免疫からみた老化
- 序論 (免疫異常症とその制御)
- P1-012 HIV感染症の継続的診療・地域連携並びに薬学的管理における薬剤師の役割と職能展開(薬剤管理指導・病棟薬剤業務,ポスター,一般演題,岐路に立つ医療〜千年紀の目覚め〜よみがえれ!ニッポン!薬の改革は我らが手で!)
- リファンピシンの免疫抑制作用