全身性エリテマトーデスの再燃に関する臨床的ならびに免疫学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
全身性エリテマトーデス(SLE)の自然歴の解明と治療指針確立を目的として, SLEの再燃を臨床症状,検査所見,ステロイド(ス薬)治療の面から解析した.来院時未治療SLE63例を対象とした.再燃例は48%あり,再燃例で平均2.6年毎に,全症例では3.7年毎に1回の再燃をみた.死亡11例の大部分は腎不全を呈し,経過観察1年未満の非再燃例に属し,ス薬大量療法を受けていた.再燃例は非再燃生存例に比し関節炎が高率であつた以外,病像,検査所見,ス薬投与量で差がなかつた.再燃時症状は未治療時症状と同一の傾向があつた.再燃時に腎障害が新たに出現してくる頻度は少なく,かつその程度は軽度であつた.検査所見では,初回治療時には抗DNA抗体,補体価,白血球数の異常は70〜90%と高率であつたが,再燃時にはその出現はやや低率であつた. warm reactive IgG抗リンパ球抗体価はSLEの活動性とよく並行した(<0.001).抗DNA抗体価,あるいは補体価が単独で異常のまま遷延したり,異常化しても再燃とは直結しなかつたが,両者の異常が遷延,ないし出現した時は再燃に連ながる可能性が高かつた.寛解期間は急性期ス薬投与量との間には相関がみられなかつたが,最大投与量からプレドニソロン(PSL) 20mg/日ないし10mg/日になるまでの漸減期間と相関した.抗DNA抗体価または補体価の異常値遷延化は,急性期ス薬投与量と相関した.再燃はPSL1日平均10.8±8.4mgの服用時に観察された.その鎮静化には,再燃時服用量の2倍以上を要し,その必要量は再燃回数がふえるにつれ減少した.少量PSL(10mg/日以下)で長期(3年以上)寛解のみられたSLE13例は中枢神経および腎の障害が少なく,抗RNP抗体の陽性率が高かつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
関連論文
- 182 全身硬化性(PSS)におけるHLA-D, DR抗原の検索(老化・腫瘍・遺伝)
- 96.SLE およびウイルス感染症における抗リンパ球抗体(LCT-AS)の性状(自己免疫2)
- 3. SLE 患者血清中の lymphocytotoxin に関する研究(6 自己免疫疾患とリンパ球)
- 全身性エリテマト-デスの再燃に関する臨床的ならびに免疫学的研究
- ステロイド剤の使い方 (炎症治療--感染症を中心に)
- 薬剤誘発膠原病様症候群--薬剤誘発ルプスを中心とした文献的考察
- 慢性関節リウマチ患者尿中のインターロイキン1(IL-1)並びに IL-1 抑制活性
- (6)IL-1,TNFの血管内皮細胞機能に及ぼす影響(一般演題,第14回北里医学会総会抄録)
- 慢性関節リウマチと血清酸化能
- 272 PGE_2産生に及ぼすMethotrexateの影響
- 膠原病の診断--臨床症状からのアプロ-チ ("膠原病とその周辺疾患"治療と生活指導)
- 抗体産生細胞の機能分化とその調節機構(中課題IV「発生と機能分化」)
- 335.NBZマウス腹腔マクロファージによる自己及び異種赤血球貪食能の加令に伴う変化について(マクロファージ)
- 153 抗DNA抗体産生反応の調節機構 : T-cellサブセットの機能変調について(自己免疫1)
- 抗リンパ球自己抗体 (自己抗体の標準的測定法)
- 111 膠原病患者血清の血管内皮細胞増殖に関する研究
- 149 NZB/WF_1マウス免疫異常に及ぼすRecombinant Interleukin-2(γIL-2)の影響
- Pneumatosis intestinalisを合併したCommon variable immunodeficiencyの1例
- 細胞性免疫能の著明な低下を認めた胃癌合併皮膚筋炎の1例
- (1)SLEと末梢神経障害(2.一般演題(A),第5回北里医学会総会抄録)
- 無菌性骨壊死を伴った多発性筋炎の1例
- SLE患者末梢血リンパ球のin vitro lectin 反応性とその血清中抗Bリンパ球抗体の存在について
- 207. Sjogren 症候群を合併した各種膠原病の臨床的・免疫血清学的研究(自己免疫と膠原病)
- 161.実験的抗核酸抗体の研究 : 体液性抗体と細胞性免疫との関係について(抗原抗体反応)
- 全身性エリテマト-デスの薬物療法
- 混合性結合組織病における肺線維症と抗細胞骨格抗体
- 膠原病における抗ビメンチン抗体,抗サイトケラチン抗体とその臨床的意義
- 多発性筋炎の間質性肺病変に関する臨床的並びに免疫学的研究
- 全身性エリテマトーデスの再燃に関する臨床的ならびに免疫学的研究
- スリンダクにより誘発された無菌性髄膜脳炎の1例
- NZB/W F1マウスの免疫異常に対するrecombinant interleukin-2の効果
- レイノー現象,高ガンマ・グロブリン血症,血少板減少症などを伴つた原因不明の肺高血圧症の1例
- 全身性エリテマトーデスの中枢神経障害にかんする臨床的ならびに免疫学的研究
- 結合組織疾患における三叉神経障害の臨床的意義
- 特発性門脈圧亢進症を合併した全身性エリテマトーデスの1症例
- Present situation of SLE therapy. Central nervous disorder of SLE.
- 慢性関節リウマチにおける薬物療法の最近の動向
- Effects of pregnancy and delivery on SLE activity.