先端巨大症とBasedow病を合併した1例
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概要
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先端巨大症と甲状腺機能亢進症との合併例は, 1927年にCushing and Davidoffが報告して以来, 20例以上の報告例があるが,その中で,先端巨大症とBasedow病の合併例は1例しかなく,本例は第2例目である.両疾患の合併に関して,若干の考察を試みた.症例は23才,女性. 10年前より易疲労感・腰痛があり, 5年前より次第に鼻尖,下顎,手指,足趾などの先端巨大が生じてきた. 2年前より発汗増加, 1年前より手指振戦,動悸も出現し,精査治療のため当科入院.入院時現症では,先端巨大症,皮膚湿潤,手指振戦,頻脈の他,び漫性ゴム様硬の甲状腺腫が認められた.検査所見では,血中T4, T3, GHが高値,血中TSHが低値を示し, TRH試験に反応せず, thyroid test, LATSは陰性であつたが, microsome testは陽性であり,甲状腺シンチやエコーでび漫性甲状腺腫が認められた.以上より,本例は先端巨大症とBasedow病の合併例と診断され,甲状腺機能亢進症に対してメルカゾールによる治療を行ない, euthyroidの状態となつてから,下垂体腺腫の亜全摘を施行した.この間,種々の内分泌学的検査を施行したが,本例における先端巨大症とBasedow病の合併に関しては, Basedow病がGH増加を助長していた可能性は否定できなかつたが,両疾患の因果関係を積極的に示唆する所見は得られず,両疾患の合併は偶然であろうと推測するのが妥当であると考えられた.
著者
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野中 泰延
東京大学医学部第二内科
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石井 當男
東京大学医学部第二内科
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芹沢 剛
東京大学医学部第二内科
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行徳 祐一
東京大学医学部第二内科
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木野 博至
東京大学医学部第二内科
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玉岡 晃
東京大学医学部第二内科
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