慢性トルエン中毒の2症例 : 頭部CTスキャンと腓腹神経生検像の検討
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概要
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慢性トルエン中毒の2症例につき頭部CT像および末梢神経障害像を中心に検討を加えた.症例は47才の男性と71才の男性で,いずれも長時間トルエンを主成分とする有機溶剤を使用する職場で働いていた.両症例とも中枢神経障害のみでなく,末梢神経障害も認めた.また,末梢神経障害は前者がmixed typeであるのに対し,後者はsensory dominant typeであつた.この違いはトルエンの暴露濃度,期間の違いによると思われた.頭部CT像では大脳の脳溝の開大およびシルビウス裂,側脳室の拡大を認め,中等度から高度の大脳萎縮が認められ,頭頂葉に最も強いと思われた.一方,小脳の萎縮は大脳に比し軽度であつた.腓腹神経生検は前者に行なわれたが,従来の報告と同様に大径有髄線維を中心とする有髄線維の減少がみられた.しかし,ときほぐし法では軸索変性が主体をなしており他の報告と異なり脱髄変化はみられなかつた.無髄線維には明らかな異常は認められなかつた.トルエンによる末梢神経障害の予後については本例からは,運動障害に比し感覚障害の改善は悪いことが推測された.
著者
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森内 巌
岐阜大学医学部神経精神医学教室
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高木 鋼太郎
岐阜大学医学部第1内科
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高橋 善彌太
岐阜大学医学部第1内科
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河村 保男
岐阜大学医学部第一内科
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川出 靖彦
岐阜大学医学部第1内科
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小森 裕文
岐阜大学医学部第一内科
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青木 泰然
岐阜大学医学部第一内科
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森内 巌
岐阜大学医学部神経精神科
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高橋 善彌太
岐阜大学医学部第一内科
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小森 裕文
岐阜大学医学部第1内科
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青木 泰然
岐阜大学医学部第1内科
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