膠原病患者末梢血リンパ球に及ぼすlevamisoleの影響
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概要
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免疫賦活薬とされている1evamisole (LMS)の末梢血リンパ球に及ぼす影響を,正常人23例,膠原病患者44例を対象としてin vivoおよびin vitroの実験系にて解析し以下の成績を得た. 1) 3種の1ectin反応はPHAとConAでは全ての疾患で低下していたが, PWMでは全身性エリテマトーデス(SLE), Sjögren症候群のみが低下を示した. 2) LMSのPHA反応への影響は正常人は患者群より上昇例,増加率共に高く,とくにSLEでは上昇例も少なく増加率も有意に低下していた. 3) 3種のlectin反応の低反応群は正常反応群に比べLMSによる上昇例,増加率共に高く,とくにPWMの増加率は有意に高かつた.しかし,膠原病のPHA低反応群は正常人の低反応群より上昇例,増加率共に低く,とくにSLEの低反応群は6例中上昇例は皆無であつた. 4) T細胞数減少症例ではin vitroおよびin vivo共にLMSの投与はT細胞数を増加させた. 5)膠原病患者8例にLMSを投与した所, LMSによるPHA反応は正常人末梢血リンパ球の反応態度に近づく傾向がみられた. 6) LMSの臨床効果は8例中2例のみにしか認められなかつた.以上より膠原病患者では細胞性免疫能の低下傾向がみられ, LMSはin vivoでは細胞性免疫能を調節させる作用のあることを明らかにした.しかし, LMSの治療薬物としての明らかな臨床効果は得られず, in vitroで得られた成績との解離などについても考察した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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