免疫組織化学的に証明したエリスロポエチン産生肝細胞癌の1例
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概要
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症例は34歳,男性.平成4年6月初旬より右季肋部痛が出現し腹部超音波検査で肝腫瘍を認めたため6月20日当内科に入院した.肝を4横指径触知し,血液検査では赤血球数544万/mm<SUP>3</SUP>, Ht55.7%であり,血中エリスロポエチンは550mIU/mlと高値を認めた.画像診断では肝S5,6,7に広がる径約12cm大の巨大な腫瘍を認め,その周辺に直径10〜20mm大の病変を多発性に認めた.入院後エリスロポエチンは上昇し,9月9日には7,100mIU/mlと著明な高値を示した.患者は同日肝不全のため死亡した.肝組織学的所見では中分化型肝細胞癌であり,免疫組織化学的に癌部にエリスロポエチンを証明し得た.肝細胞に伴う赤血球増加症は比較的稀であり,その病態に関しては不明な点が多い.文献上,免疫組織化学的に肝細胞癌組織内においてエリスロポエチン産生を確認したものは未だなく,貴重な症例であると考えた.
著者
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伊藤 秀一
和歌山県立医科大学 第2内科
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西岡 新吾
和歌山県立医科大学 第2内科
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河合 純
和歌山県立医科大学 第2内科
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原 猛
和歌山県立医科大学第2内科
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山西 徹治
和歌山県立医科大学第二内科
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坂辻 喜久一
和歌山県立医科大学第二病理学教室
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中田 博也
和歌山県立医科大学付属紀北分院内科
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田中 智之
社会保険紀南綜合病院 中央検査部
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西岡 新吾
和歌山県立医科大学第2内科
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原 猛
和歌山県立医科大学消化器内科
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中田 秀則
和歌山県立医科大学消化器内科
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河合 純
和歌山県立医科大学第2内科
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横矢 行弘
和歌山県立医科大学第2内科
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横矢 行弘
和歌山県立医科大学消化器内科
-
中田 博也
和歌山県立医科大学第2内科
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山西 徹治
和歌山県立医科大学第2内科
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