肝疾患における血清アルカリ性RNA分解酵素の臨床的意義について
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概要
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酵母RNAを基質として用い,血清アルカリ性RNA分解酵素(RNase)活性を肝疾患患者159例,健常者28例で測定した.本酵素活性は急性肝炎20.2±6.0,慢性肝炎20.4±3.9,肝硬変症22.3±6.4および肝細胞癌32.9±14.6単位で,健常者15.5±2.3単位に比し有意に高値を示した(p<0.01).急性および慢性肝炎と肝硬変症の間には,その活性値に差異は認めないが肝細胞癌では他の群に比し著明な上昇がみられた(p<0.001).<BR>同時に測定されたGOT, LDH, AlP値とRNase活性とには相関はみられなかった.しかし,血清albumin値とは負の相関が認められた(p<0.001).<BR>以上の結果より,肝疾患において本酵素活性の高値は肝細胞障害や肝機能障害の程度を反映しているとは考えにくく,血清RNase活性は窒素バランスと関係があるとする報告1)がみられる様に,肝疾患における蛋白代謝の異常(異化作用の亢進状態)を示している可能性が示唆された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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