手術時切除肝組織からのヒト肝細胞培養

概要

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手術時切除肝を用いてヒト肝細胞の分離培養を行い,単離肝細胞の収量,viability,培養肝細胞機能が入手肝組織の温阻血時間といかなる関係にあるかを検討した.肝細胞の分散はコラゲナーゼとディスパーゼの混合液を灌流することにより行い,分散された肝細胞を10日間培養し,糖新生能,尿素合成能,DNA量を測定した.入手肝組織の温阻血時間は,0-300分であった.その結果,単離肝細胞のviabilityは肝温阻血時間と関係がなく87.9%であったが,収量との間には有意の相関関係を認めた(p<0.05).温阻血時間が120分以内における収量は180分以上と比較し有意に高かった(p<0.05).培養肝細胞機能は10日間維持され,機能は温阻血の影響を受けなかった.以上から,肝細胞の分離培養で肝組織の温阻血時間が長くなると単離肝細胞の収量は減少するが,120分までは,収量およびviabilityともに良好である.また,温阻血障害を受けた肝細胞を培養することによりその機能が完全に回復するものと考えられた.