肝Nodular Hyperplasiaを伴った特発性門脈圧亢進症の1剖検例とその病態に関する考察
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概要
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特発性門脈圧亢進症(I.P.H.)に肝Nodular Hyperplasia (N.H.)と肝内外門脈血栓症を伴った59歳,女性の剖検例について病理組織学的立場より,病因・病態・組織像などについて検討した.臨床的には脾腫,貧血,門脈圧亢進の3主要症状を満たし,直接死因は食道静脈瘤の破裂であった.肝(640g)左葉の組織像は門脈末梢枝のつぶれ,肝内門脈血栓を特徴としI.P.H.と診断した.右葉はN.H.であるが,生前の腹腔動脈造影・肝シンチ所見から肝癌が疑われている.このN.H.で特異的所見は異所性門脈の存在であり,この門脈がN.H.の発生に重要な役割を果していると考えられた.また動脈造影所見とこの門脈との関連性について検討した.肝外門脈血栓は門脈末梢枝のつぶれによる二次的変化の可能性が強い.脾(360g)は強いFibroadeniaとGamna-Gandy body及び脾柱静脈の狭小化を示しバンチ脾の特徴を有していた.本例のI.P.H.の病因は明確に出来なかったが,その可能性のあるものについて考察した.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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板倉 英世
長崎大学熱帯医学研究所病変発現機序
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寺尾 英夫
長崎大熱研病理
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棟久 龍夫
長崎大学医学部第一内科
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寺尾 英夫
長崎大学熱帯医学研究所病理
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為西 昭勇
長崎大学医学部第1内科
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小路 敏彦
長崎大学医学部第1内科
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上野 泰志
長崎大学医学部第2病理
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棟久 龍夫
長崎大学医学部第1内科
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- タイトル無し
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