Adriamycinにて治療中HBsAgが陽性化したHepatomaの1例
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概要
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患者は右上腹部痛を主訴とした50歳の男性.昭和53年4月11日より右上腹部痛を訴え4月21日受診,入院.入院時,左鎖骨上窩に鳩卵大,塊状のリンパ節腫大をみとめ,肝を右鎖骨中線上で4横指触知,脾を1横指触知した.AFPは320ng/ml以上で陽性であった.HBsAgはRPHA法,RIA法共に陰性でantiHBsもPHA法にて陰性であったが,antiHBcがIAHA法にて212で陽性であった.肝シンチグラムにて右葉と左葉に陰影欠損,胸部X-Pで円形陰影を両肺に多数みとめ,ヘパトーマの肺および表在リンパ節転移と考えAdriamycin (ADM) 10mg/日を4日から6日間連日静注,10日間休薬,PSKを2g/日にて治療を試みた.その結果,GOT,LDH, Al-P, LAP, γ-GTPの改善がみられ,肝シンチグラムの欠損像,胸部X-Pの円形陰影,左鎖骨上窩リンパ節も一時縮少したが,再び増悪し死亡した.死後穿刺により組織学的にHepatomaを証明した.また陰性であったHBsAgが8月13日ADM 300mg投与時,RIA法で,9月7日にはRPHA法にて23で陽性となり,その後その力価はRPHA法で213まで上昇し,ADM投与がHBsAg陽性化に関与した症例と考えた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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大島 健次郎
岐阜県立岐阜病院
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小林 成禎
岐阜県立岐阜病院消化器科
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足立 信幸
岐阜県立岐阜病院第2内科
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青山 政史
岐阜県立岐阜病院第2内科
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広瀬 洋
岐阜県立岐阜病院第2内科
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小島 峯雄
岐阜県立岐阜病院内科
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宇土 一道
養老中央病院内科
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福田 信臣
福田内科医院
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広瀬 洋
岐阜県立岐阜病院内科
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小島 峯雄
岐阜県立岐阜病院
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大島 健次郎
岐阜県立岐阜病院内科
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足立 信幸
岐阜県立岐阜病院内科
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足立 信幸
岐阜県立岐阜病院
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青山 政史
岐阜県立岐阜病院内科
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小林 成禎
岐阜県立岐阜病院内科
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小林 成禎
岐阜県立岐阜病院 消化器科
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