原発性肝癌症例に見られた脱シアル酸糖蛋白血症とその臨床的意義
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概要
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各々の血清糖蛋白について,多量の脱シアル酸糖蛋白を伴なった原発性肝癌の1例を報告した.種々の血清糖蛋白の中で,α2-HS-glycoprotein, transferrin,α1-antitrypsinに脱シアル酸糖蛋白分画が著明に見られた.正常糖蛋白分画に対する脱シアル酸糖蛋白分画の割合は各々の糖蛋白の間で差があった.しかし正常分画と脱シアル酸分画の和はいずれの糖蛋白も正常血中濃度内にあった.transferrinについては,脱シアル酸分画の割合は患者の経過と共に著明に変化し,99mTcによる肝シンチグラフィー上の肝腫瘍面積と良い相関を示した.血縁者にはこの脱シアル酸糖蛋白血症は見られず,これらの異常は後天的なもので肝癌と関連していることが強く示唆された.<BR>脱シアル酸糖蛋白と肝臓との関連に関する現在までの動物実験の研究を概観し,本例に見られた脱シアル酸糖蛋白血症の臨床的意義について考察した.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
-
吉川 敏
名古屋第一赤十字病院内科
-
祖父江 元
名古屋大学 神経内科
-
高阪 彰
名古屋大学医学部公衆衛生
-
浅井 紀一
名古屋大学医学部中検
-
服部 武
名古屋第一赤十字病院内科
-
斉藤 宏
名古屋大学医学部放射線科
-
祖父江 元
名古屋大学医学部第1内科
-
斉藤 宏
名古屋大学医学部・放射性同位元素研究室
-
高阪 彰
名古屋大学医学部中央臨床検査部
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