本邦におけるReiter症候群 : 症例報告ならびに51例の解析

概要

論文の詳細を見る
非淋菌性尿道炎,関節炎および結膜炎を三徴候とし,さらにHLA-B 27を証明した典型的Reiter症候群を1例報告し,本邦での報告例50例と合わせて比較検討した.症例は38歳男性,多発性関節痛,羞明および排尿時膿尿が約1ヵ月で出現したため来院した.過去に数回の虹彩炎および尿道炎の既往があった.関節炎,結膜虹彩炎,尿道炎および連環状亀頭炎をもち,検査所見では,血沈亢進, CRP陽性,骨X-P上仙腸関節の不整狭小化, HLA-B 27陽性.以上よりReiter症候群と診断した. Indomethacin, Phenylbutazoneの炎症所見改善効果は不十分であり,ステロイド薬を使用した. Prednisolone 30 mg単独投与により,自覚症状の劇的改善と炎症所見の完全消失をみとめた.本症候群として報告されたもの50例を分析したところ,古典的三徴候を呈したものは33例あった.本症候群で伴うことが多いとされる皮膚症状まで記載のあるのは18例であった.現在までにHLA-B 27が証明された例は検索された11例のうち9例であった.治療法ではステロイド薬による有効率が使用例のうち8割を超え,欧米での報告と異なっていた.欧米成書に記載のない,肝胆道系酵素すなわちGOT, GPT, AL-P, LDHなどの上昇をみとめたものが本例を含めて5例あった.