体外受精由来ウシ胚の品質評価に関する研究
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概要
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体外受精由来ウシ胚の細胞遺伝学的ならびに形態学的品質評価を行い,主に以下のような結論が得られた.1)体外受精により作出した2細胞期胚を用い,初期胚の染色体標本作製法を開発した.2)体外受精由来初期胚の約7-36%に染色体数異常が存在し,そのほとんどは多精子侵入などの受精時の異常によることを明確にした.3)体外受精由来の胚盤胞期胚の内細胞塊(ICM)の染色体数異常出現頻度は栄養外胚葉に比べて低いことを明らかにした.4)免疫手術を利用した二重蛍光染色法を用い,ウシ胚盤胞の栄養外胚葉とICMの細胞数の分別計測法を開発した.5)体外受精由来の胚盤胞はICM細胞間の結合状態が緩く,またICM細胞数も有意に減少し,これが体外受精由来胚の受胎性の低下の一因であると推察された.6)体外受精胚をウサギ卵管内に移植することにより,完全体外培養系由来の胚に比べICM細胞数が増加し,個々の形態が改善されることを明らかにした.7)凍結融解後の生存胚においてもICM細胞に死滅細胞が混入することから,このことが凍結保存胚における受胎性の低下の一因であると推察された.これらの結果は,体外受精ウシ初期胚の現時点における低発生率は主に異常受精に起因し,それらの低受胎性は胚盤胞における内細胞塊の細胞増殖性の低さと,細胞間接着の緩慢さに起因すると考えられた.
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