肝部分切除後の再生肝ラットに対するTritoqualine(TRQ)の作用 ―正常肝および慢性障害肝に対する作用―
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概要
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正常ラットおよび四塩化炭素(CCl<SUB>4</SUB>)を12週間連続投与した慢性肝障害ラットを用い,肝部分切除手術後のtritoqualine(TRQ)の作用を生化学的に検討して次のような結果を得た.1) 正常ラットでは手術後7日間のTRQ 100および200 mg/kg/day投与により投与量依存的に肝再生率が上昇した.TRQは肝部分切除手術によって低下したBSP排泄能を著明に改善し,コレステロールエステル化能も有意に高めた.またTRQの投与により血清中総タンパク量,アルブミン量および肝臓中タンパク量に回復傾向がみられ,肝ミクロゾームにおけるタンパク合成活性にも明らかな上昇傾向がみられた.2) CGl<SUB>4</SUB>慢性肝障害ラットでは手術後6日間のTRQ 100および200 mg/kg/day投与によりやはり投与量依存的に肝再生率が上昇した.TRQはCCl<SUB>4</SUB>投与と手術によって低下した血清中総タンパク量を著明に改善し,血清アルブミン量および肝臓中タンパク量にも回復傾向を示した.またCCl<SUB>4</SUB>連続投与により肝臓中コラーゲン量は増大していたが,TRQ投与により再生の促進された肝臓は硬変性のものではなく正常肝に近かった.これらの結果から,TRQは肝細胞内におけるタンパク合成能を高めることにより,肝細胞の正常な増殖を促進し,肝機能を充進する作用を有すると考えられる.
著者
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梅津 浩平
三菱化成工業株式会社中央研究所
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湯浅 聡
三菱化成工業(株)総合研究所生化研究所
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須藤 敦子
三菱化成工業(株)総合研究所生化研究所
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須藤 敦子
三菱化成工業総研
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梅津 浩平
三菱化成工業(株)総合研究所生化研究所
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