ラット胆汁分泌に対するTritoqualine(TRQ)の作用
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概要
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tritoqualine(TRQ)連投による胆汁分泌亢進作用をラットを用いてphenobarbital(PB)の作用と比較検討した.14日間の連投により胆汁分泌速度はTRQ(25,50,100mg/kg/day),PB(50mg/kg/day)投与群共に対照群に比べ有意に増加した,体重あたりの肝重量はPB投与群で有意に24%増加していたが,TRQ投与群では100mg/kg群に5%の増加が認められたにすぎなかった.胆汁酸濃度はTRQ投与群,PB投与群共に低下していたが,肝重量あたりの胆汁酸排泄量ではTRQ群は対照群と差がなく,PB群では17%減少していた.肝重量あたりの胆汁中コレステロール,リン脂質量も胆汁酸と同様の傾向を示した.Na<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>,Cl<SUP>-</SUP>濃度はTRQ,PB投与群共に対照群と差がなかったが,肝重量あたりの排泄総量はTRQ投与群の方がPB投与群よりも多かった.TRQは静注後速やかに胆汁中に排泄されるが,この時胆汁量の増加は見られず,TRQまたは代謝産物の胆汁への排泄に伴なう胆汁分泌量の亢進は認められなかった.以上の様にTRQによる胆汁分泌亢進作用はPBと同様に胆汁酸非依存性の胆汁分泌の亢進であったが,肝重量あたりの排泄成分の量がTRQ群とPB群では異なることや薬物代謝酵素の誘導もTRQ群では弱いこと等から,TRQの薬理作用はPBと異なることが推察された.TRQによる胆汁分泌促進作用はTRQによる肝細胞の賦活作用と関係ある可能性が示唆された.
著者
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梅津 浩平
三菱化成工業株式会社中央研究所
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湯浅 聡
三菱化成工業(株)総合研究所生化研究所
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須藤 敦子
三菱化成工業(株)総合研究所生化研究所
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須藤 敦子
三菱化成工業総研
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斎藤 光実
京都大学薬学部衛生化学教室
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梅津 浩平
三菱化成工業(株)総合研究所生化研究所
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