四塩化炭素誘発肝硬変ラットに対するCianidanol(KB53)の作用 ―病理学的検討―
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概要
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四塩化炭素(acCl<SUB>4</SUB>)を週2回,10週間皮下投与して肝硬変を誘発したラットを用い,病理学的手法によりcianidanolの作用を検討した.対照群の肝では病理解剖学的所見として表面の褐灰白色化,光沢消失および穎粒状結節性増殖巣が認められ,割面では明瞭な偽小葉の形成が認められた.病理組織学的所見として肝実質細胞の変性脂肪化および水腫性変性,隔壁性線維増殖による偽小葉形成,細胞周囲性線維化によるロゼット形成および胆管の増生が認められた.これらいずれの異常所見に対しても,cianidanolは200mg/kgおよび400mg/kgを7日間経口投与することにより明らかな改善効果を示し,その効果は用量依存的であった.したがって,cianidanolはCCl<SUB>4</SUB>投与により誘発された肝硬変において,障害きれた肝実質細胞の治癒,再生および増殖した線維の吸収を促進して肝の器質的変化を改善することが推察された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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田島 滋
鐘紡株式会社漢方へルスケア研究所
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武部 秀太郎
鐘紡株式会社 薬品安全性研究所
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能勢 尚志
鐘紡株式会社 薬品研究所
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伊藤 敬三
鐘紡株式会社薬品研究所
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武部 秀太郎
鐘紡薬品研
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池田 善明
鐘紡株式会社薬品研究所
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佐藤 巖
鐘紡株式会社薬品研究所
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