Cysteine ethylester hydrochloride(Cystanin®)の生体防御機構に及ぼす影響(第2報) ―抗体産生能回復作用―
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概要
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ヒツジ赤血球に対するBALB/cマウスの脾溶血斑形成細胞(HPFC)の産生は,carrageenan (0.3 mg/kg)を免疫する3日前および1日前の2回腹腔内投与すると,有意に抑制された.cysteine ethylester hydrochloride(ethylcysteine)は10〜100mg/kgの経口投与で,このHPFC産生能の低下を用量に依存して回復させた.ヒツジ赤血球で免疫したマウスから得られた脾付着細胞(SAC)中のIa陽性細胞(抗原提供細胞)は増加したが,carrageenan投与マウスから得られたSAC中のそれは減少した.このマウスにethylcysteineを投与すると,SAC中のIa陽性細胞は増加した.また,cyclophosphamide(30 mg/kg)を免疫する前日および当日の2回腹腔内投与すると,HPFC産生は抑制され,胸腺リソパ球数および末梢血白血球数も減少した.ethylcysteine 10〜100 mg/kgを免疫する2日前および1日前の2回経口投与すると,HPFC産生能の低下,胸腺リンパ球数および末梢血白血球数の減少は防止された.cyclopbosphamideを投与したマウスの脾T細胞中のLyt1.2陽性細胞(ヘルパーT細胞)は減少したが,このマウスにethylcysteineを投与すると脾T細胞中のそれは増加した.一方,cyclophosphamide処置マウスに本薬物を投与すると,脾細胞中のThy1.2陰性細胞(B細胞)は増加しなかった.以上の成績から,本薬物は免疫抑制マウスの免疫応答を回復させ,その回復作用はマクロファージおよびヘルパーT細胞を介して発現されるものと推定される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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