サケカルシトニン(sCT)のラットにおける中枢性と末梢性摂食抑制作用 新しい誘導体 [Gly<SUP>8</SUP>]-sCTにおける分離
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概要
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サケカルシトニン(sCT)は血清Ca低下作用以外に多様な薬理作用を示すことが動物実験で報告されている.そのうち摂食抑制作用は中枢だけでなく末梢投与でもみられ,血清Ca低下を目的にヒトに投与する場合,副作用となりうる,sCTの誘導体でsCTより強力な血清Ca低下作用を有する[Gly<SUP>8</SUP>]-sCTについてラットの摂食抑制作用を調べ,末梢投与でこの作用を持たないことを認めた,そこで,誘導体の薬理学的評価を行った.1)1U/kgの皮下投与でsCTとその誘導体は投与後1〜3時間をピークとする血清Ca低下作用を示し,両者の作用の間に差を検出しなかった,2)1日2時間(17:00〜19:00)の限定給餌下のラットに給餌前30分に1U/ラットを脳室内投与すると,両ペプチド共に摂食量と摂水量を有意に減少し,体重の低下をきたす.さらにsCTは皮下投与でも100U/kgで摂食量と摂水量を低下させ,この作用は24時間以上持続し,体重が著明に低下した.これに対し,誘導体にこのような作用を検出しなかった.3)脳および腎臓の膜画分にたいする<SUP>125</SUP>I-sCTの結合を50%阻害する濃度は,sCTがそれぞれ0.78と1.2nM,誘導体がそれぞれ3.1と7.2nMであった.4)50U/kgの皮下投与で,いずれのペプチドも約45%の血糖上昇をきたした.以上の結果は,sCTの末梢性の摂食抑制作用が,1)中枢性の抑制作用と機構を異にし,2)血清Ca低下作用や血糖上昇作用とも独立した作用で,3)N-末端から8番目のVal-残基をGly-残基で置換すると消失することを示しており,[Gly<SUP>8</SUP>]-sCTがsCTより副作用の少ない誘導体である可能性を示唆する.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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中牟田 弘道
広島国際大学 薬学部 薬学科 薬効解析学教室
-
小井田 雅夫
摂南大学薬学部薬理学教室
-
小井田 雅夫
摂南大学薬学部
-
中牟田 弘道
摂南大学薬学部薬理学研究室
-
小川 保直
摂南大学薬物安全性研究所
-
ORLOWSKI Ronald
Armour Pharmaceutical Company
-
中牟田 弘道
摂南大学薬学部薬理学教室
-
ORLOWSKI Ronald
Armour Pharmacertical Company
-
Orlowski Ronald
Armour Pharmaceutical Co.
-
小川 保直
摂南大学薬学部生物学教室
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