イヌの心筋梗塞性不整脈(ビーズ法)に対する数種抗不整脈剤の作用
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概要
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イヌの左冠動脈内に1個のガラス製ビーズ(直径1.5mm)を注入して心筋梗塞性不整脈を発生せしめ,これが不整脈モデルとして利用出来るか否かをquinidine(Qd),lidocaine(Lid),aprindine(Apr),dl-propranolol(dl-Prop)を用いて検討した.pentobarbital-Na麻酔下にイヌの血圧と心電図を記録しながら左頸動脈より冠動脈カニューレを左冠動脈内に挿入し,カニューレを介してビーズを注入し,冠動脈閉塞を行なった.冠血管閉塞による心筋梗塞性不整脈は閉塞24時間後が最も顕著で,心拍数180拍/分の約90%を占め,この状態は約30時間持続した.48時間および72時間後の心拍数はそれぞれ140拍/分,110拍/分であったが,その際の心室性不整脈は心拍数の80%,45%まで減少した.注入したビーズは左冠動脈前下行枝および左回施枝にそれぞれ12/14例,2/14例局在した.ビーズで梗塞された心筋では24時間後に壊死橡,10日後には線維化が認められた.無麻酔,無拘束のイヌより無線方式で四肢第II誘導心電図を polygraph 上に記録し,梗塞24時間後の不整脈モデルに対してQd,Lid,Apr,dl-Prop を静脈内に累積投与し,それぞれの抗不整脈作用を検討した.四薬物は共に用量依存的な抗不整脈作用を示し,Apr と dl-Prop の作用は QD,Lid に比べて約3倍強力であった.Lid,dl-Prop,Apr の作用持続は比較的短く(20〜30分),Qd のそれはやや持続的(約60分)であった.ビーズ法による心筋梗塞は梗塞部位がやや一定し難い点はあるが,外科的侵襲の少ない簡単な手術で,安定した心室性不整脈が得られ,抗不整脈剤の作用が無麻酔,無拘束下のイヌで明瞭に判定出来るので.今後不整脈剤の検討に充分活用されるものと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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