実験的ショック犬の循環動態におよぼすDobutamine,DopamineおよびIsoproterenolの作用比較
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概要
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左冠血管結紮およびhexamethonium bromideの静脈内投与(10mg/kg)により作成した実験的ショック犬におけるdobutamine(DOB),dopamine(DA),isoproterenol(Iso)の心血管作用を比較した.DOBの静脈内投与(1〜20μg/kg/min)は用量依存的に左心室dP/dt(LVdP/dt),心拍出量を増加して血圧を上昇し,ショック時循環動態を改善した.DAの大量(20〜40μg/kg/min)静脈内投与も,DOBの作用をしのぐLVdP/dt,心拍出量増加作用および血圧上昇作用を示した.しかしながら,Isoの静脈内投与(0.01〜0.2μg/kg/min)は,DOB,DAに比べて弱いLVdP/dt,心拍出量増加作用を示したのみで,総末梢血管抵抗を著明に減少したため低血圧を回復せず,ショック時循環動態の改善は不充分であった.DOB,DAは実験的ショック犬の下大静脈還流量増加,下大静脈圧上昇,下大静脈圧と左心室拡張終期圧の圧差増大作用を示し,これにはDOB,DAの静脈血管α受容体刺激作用の関与が推測された.Isoは静脈還流量を有意に増加したが,下大静脈圧には影響をおよぼさなかった.DOB,DA,Isoはいずれも主として心筋酸素消費の増加に伴う2次的な冠血流増加作用を示した.しかし心筋酸素消費増加率と冠血流増加率間との相関より求めたDOBとDAの回帰係数(1.18,1.30)はIso(1.03)のそれに比べて大であった(P<0.05).すなわち,DOB,DAによる冠血流増加作用は主として心筋酸素消費の増加に基くものと考えられるが,その他に冠灌流圧上昇も一部関与するものと推測される.DOB,DAによるショック時循環動態の改善作用には,β<SUB>1</SUB>受容体刺激作用と静脈系α刺激作用に基く静脈容量の減少も役立つものと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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上田 元彦
塩野義製薬株式会社研究所
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松村 彰一
塩野義製薬研究所
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森茂 栄一
塩野義製薬研究所
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宇野 攻
塩野義製薬研究所
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上田 元彦
塩野義製薬(株)研究所
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松村 彰一
塩野義製薬株式会社研究所
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宇野 攻
塩野義製薬(株)研究所
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