Mianserinの中枢作用に関する神経化学的ならびに脳波学的研究
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概要
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新抗うつ薬,mianserin hydrochloride (Organon)ならびにその比較としてimipramine (IMP),desipramine (DPM),chlorimipramine (CIP)およびamitriptyline (ATP),nortriptyline (NTP)をそれぞれ1群25匹のマウスに3週間連続投与した場合の脳内モノアミン代謝の変動を神経化学的に検討した.1.対照群と有意差の比較において,mianserin 20mg,DPM20mgではnoradrenaline (NE),dopamine (DA)および,serotonin (5HT)量に変動はみられず,IMP50mgとCIP40mgはNA,DA量の変動は示さず,5HT量を減少,ATP30mgはNEのみを増加させたが,DA,5HT量の変動はなかった.NTP20mgはDA,5HT量を増加し,NEは変動がなかった.2.α-metyl-tyrosine 200mg/kg(i.p.)前投与によるカテコールアミンの減少に対して,mianserin,IMP,DMPはNE,DA減少をきらに増強した.NTP,CIPは著しい作用はなかった.ATPはDAの減少を抑制した.3.probenecid 250mg/kg(p.o.)投与1時間後の5-hydroxyindole 酢酸(5-HIAA)の蓄積に対し,mianserin 20mg,NTP20mg,およびIMP25mgは増加,CIP40mg,DPM20mgならびにATP30mgはいずれも有意な変動がみられなかった.以上の成績は,mianserinはNE系,5HT系をともに活性化,IMPはNE系の活性化,低用量で5HT系活性化,高用量で5HTの合成抑制,CIPはNE系に影響なく5HT合成を抑制した.NTPはNE系に影響なく,高用量で5HT系を活性化の傾向を有することを示唆する.4.ウサギの慢性脳波において,physostigmine 0.05mg/kg静脈内注射で誘発される海馬脳波の覚醒反応に対して,IMP,ATP,CIPは抑制作用を示したが,DPM,NTPは影響を及ぼさず,mianserinはむしろ覚醒反応を持続,延長させた.5.ラットの慢性自発性脳波の長時間記録における覚醒〜睡眠相の観察で,逆説睡眠時間は,mianserinは30mg/kg以上で,IMPは5mg/kg以上で,用量依存的に減少した.ATPは15mg/kgで減少の傾向を示した.6.覚醒時ならびに徐波時における大脳皮質と海馬の脳波をsignal processorで解析した.power spectrumはmianserinとIMPの間で有意な差は認められなかった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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