Alloxan糖尿ラットにおける末梢神経の機能的変化とこれにおよぼすビタミンB群の影響
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概要
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本実験から以下のことが結論される.1)Alloxanの静注によって400mg/dl以上の血糖値が6〜8週間持続したWistar系ラットの末梢神経には,おそらく太い線維にあらわれる変性線維によると思われる電位が記録される.この場合,皮膚神経の電位には変化が認められなかった.2)この変性線維によると思われる電位の発生は,ビタミンB群の大量(B<SUB>1</SUB>として100mg/kg)の連続投与によって抑制された.3)Sprauge-Dawley系ラットでは,alloxan投与後6〜8ケ月間血糖値が400mg/dl以上持続しているラットでも,求心性・遠心性線維とも神経活動電位にほとんど変化は認められなかった.しかし,興奮性の回復時間が延長した例は認められた.4)順向性ならびに逆行性電位の持続時間,前者の閾値に対する後者の閾値および遠心性単一神経線維の不応期を指標に,無処置群,alloxan処置後ビタミンB<SUB>1</SUB>(100mg/kg),B5(100mg/kg),B12(1mg/kg)ならびにそれらの配合剤であるV<SUB>100</SUB>およびその1/2用量であるV<SUB>50</SUB>,さらにインシュリンとV<SUB>100</SUB>あるいは生理食塩水の併用投与の各群について検討した結果,ビタミンB<SUB>1</SUB>,B<SUB>6</SUB>およびB<SUB>12</SUB>の各単剤では効果なく,三者配合剤であるV<SUB>100</SUB>では神経線維の機能的変化を抑制し,またインシュリンとの併用においてはインシュリン単独投与に比して抑制効果が強かった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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岩田 宜芳
三共(株) 中研
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松村 昌子
三共(株) 中研
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岩田 宜芳
三共(株)神経科学研究所
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酒井 豊
防衛医科大学校薬理学教室
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酒井 豊
防衛医科大学校薬理学講座
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岩田 宜芳
三共(株)中央研究所
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松村 昌子
三共(株)中央研究所
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