多次元液体クロマトグラフィ―の開発とニューロサイエンスへの応用
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概要
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多次元液体クロマトグラフィー開発の目的は,できるだけ多くの神経系関連物質を同一生体試料より分離測定することによりその測定値が示すプロファイルから中枢系作用薬の機序,動物行動の影響,精神疾患による機能的変化など,いわゆる中枢神経系に生じた変化の動態を総合的に把握し,その根拠の解明に役立てることである.本報の開発機器は,電気化学検出器を用いた液体クロマトグラフィー(HPLC)を基調とし,以下の構成と機能的特徴とを有する.すなわち,検出器の構成としてはクーロメトリーに対するアンペロメトリー法を採択した.まず28種類の神経系標準物質の保持時間を検討し,同一時間内に全物質が溶出するよう独立した4系統(システム)のHPLCをオンラインで自動化した.システム1-3ではカテコールアミンおよびセロトニン作動性物質の測定,4はコリン作動性物質専用の測定系である.4本のカラムの溶出液は,それぞれ直列式に固定した4個の電極(システム4は1個)を通過し,各電極に印加された電位に呼応して得られる反応ピークの比率から物質の同定が可能である.すなわち,本システムはナートインジェクターと増幅器を4台のHPLCに連動しコンピューターベースで統合した4系並列の同時分析システムである.本法の機能性および有用性を評価するため,1)ラット脳線条体組織における神経系関連物質のレベルを断頭群,マイクロ波照射群で比較し,これら物質の死後変化の影響を数値化して従来の結果と比較検討した.さらに2)パーキンソン病および本態性痙攣を有する患者の脳室液物質を同時測定した.以上の結果から1)における再現性の確認,2)では従来の6物質の検出結果に対し11物質のプロファイルが得られた.これら物質群は,S/N=3の条件下で100〜400fmolの高感度で22分以内で分離同定され,従来の方法に比べ抽出測定時間は1/4に短縮された.
著者
-
井上 洋
群馬大学医学部脳神経外科
-
丸山 悠司
群馬大学医学部
-
丸山 悠司
群馬大学医学部神経精神薬理学(ツムラ)講座
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五十嵐 康
群馬大学医学部、神経精神薬理学(ツムラ)
-
BLANK C.
米国オクラホマ大学化学/生化学教室
-
伊藤 康一
群馬大学医学部神経精神薬理学(ツムラ)講座
-
佐藤 裕久
上智大学生命科学研究所
-
BLANK C.
上智大学生命科学研究所
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