Benzo〔c〕phenanthridine骨格を有する化合物の抗炎症作用とその機作に関する研究
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概要
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5種のbenzo〔c〕phenanthridine誘導体について,ラット後肢足蹠浮腫法を用いてその抗炎症作用を検討した結果,trans-4b,5,6,10b,11,12-hexahydro-5-methylbenzo〔c〕phenanth-ridine(BPD-I)およびtrans-5-bcnzyl-4b,5,6,10b,11,12-hexahydro-2-methoxybenzo〔c〕phenanthridine(BPD-II)に優れた効果を見い出した.そこでBPD-Iについて,さらに各種実験的炎症に対する作用,ならびにその作用機作について若干の検討を加えた.BPD-Iは経口投与によりcarrageenan浮腫に対しphenylbutazoneと同等の効力を示し,またdextran浮腫に対してはphcnylbutazoncより強い作用が認められた.毛細血管透過性元進に対しては起炎剤としてhistamine,serotoninを用いた場合,BPD-Iはphenylbutazone,indomethacinと同様,強い抑制作用を認めたが,bradykininを起炎剤として用いた場合には抑制作用を示さなかった.またATPを起炎剤として用いた場合には,phenylbutazone,indomethacinは無作用であったが,BPD-Iは強い抑制作用を示した.Carrageenan浮腫抑制作用および毛細血管透過性抑制作用は副腎摘出により大幅に減弱された.CMC pouch法による白血球遊走および蛋臼浸出,croton油肉芽嚢法による肉芽腫および浸出液,さらにcotton pellet法による肉芽腫形成に対してBPD-Iはかなり強い抑制効果を示した.一方,血清corticosterone値は,BPD-Iの急性および慢性投与により有意に増加することが認められた.また,肝tyrosine aminotransferase活性はBPD-Iにより増加を示し,この作用は副腎摘出により消失した.また,この活性増加は血清corticosterone値の上昇よりも遅れて現われた.以上のことから新化合物BPD-Iによる抗炎症作用発現には,副腎からのcorticosterone遊離が関与していることが示された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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岩田 平太郎
大阪大学
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岩田 平太郎
大阪大学薬学部
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山本 格
大阪大学薬学部
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二宮 一弥
神戸女子薬科大学
-
益川 徹
大阪大学薬学部薬理学教室
-
小森谷 恵司
大阪大学薬学部薬理学教室
-
岩木 秀夫
大阪大学薬学部薬理学教室
-
二宮 一弥
神戸女子薬科大学生物薬品化学教室
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