紫根および当帰の薬理学的研究(第2報) ―色素成分ShikoninならびにAcetylshikoninの薬理作用―
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概要
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紫根の色素成分であるshikoninおよびacetylsikoninにっいてその薬理作用を試験した,両色素の構造的相違はacctyl基の有無であり,構造の類以性と共に薬理作用も同様で効力に僅かの差が認められたのみであった.経口投与における主な作用は,血管透過性亢進および浮腫の急性炎症反応に対する抑制作用と軽度な下熱作用で,前報の紫根工一テルエキスの作用と同じであった.摘出臓器に対しては心房運動を促進し,血管を収縮させた.しかしこの作用はtolazolilleやpropranololの前処置によって影響されなかった.また高濃度では腸管を弛緩し,腸管収縮物質に拮抗した.これらの作用は自律神経系あるいはその受容体に働くものではなく,色素のもつ刺激作用による直接作用と思われた.色素は全身投与において血液凝固に影響しなかったが,heparinの凝固抑制作用を阻止した.この作用が血液凝固抑制因子に拮抗して,静脈瘤などの血栓形成を促進して痔疾の治療に有益に作用するかもしれない.他方色素を軟膏として局所に適当した場合は,血管透過性充進ならびに浮腫の急性炎症反応を顕著に抑制した.他方肉芽増殖に対しては増大作用を示し,創傷治癒を明らかに促進させた.この局所作用は製剤である紫雲膏の薬効を推定するものであるが,この点についてはさらに検討中である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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