熱炎症性落痛を応用した鎮痛試験の新しい試み
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概要
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ラット後肢足に火傷をつくり,それに重ねて熱刺激を加えて惹起させた炎症性終痛によるラットの症状を指標とし,新しい鎮痛薬試験法を考案した.ラット後肢足をエーテル麻酔下に57DCの熱湯に5秒間浸して火傷を作成し,2ないし4時間後に40°Cの温湯に5秒間の刺激を重ねてその火傷足に加える.再加熱直後,ラットは通常火傷足を床につけずに持ち上げるかまたは舐める行動を示す.この行動を終痛反応と規定し,再加熱後の30秒間に示される痔痛反応の時間を計測する.痛みの程度はこの終痛反応時間で表示した.火傷2時間後に疹痛反応を明瞭に示すラットを選別して投薬し,疹痛反応時間の抑制百分率ならびにID50値(50%の抑制率を与える薬用量)で薬効を表示した.この方法の特長は指標とする反応が疹痛知覚に起因している可能性が大きく,それが鎮痛薬によってのみ特異的に抑制されること,下熱鎮痛薬の鎮痛作用を抗炎症作用あるいは下熱作用の影響をうけずに測定し得ること,ならびに疹痛反応の観察に際し惹起熱刺激を与える時間と反応観察時間とを分離したことにより被検動物に加えられる通常でない環境因子を除去し得ることなどで,従来の鎮痛試験法より特異性が大きいと推察される.この方法によって測定された下熱鎮痛薬の有効性の順位は,indomethacin>flufenamic acid>mefenamic acid>bimetopyrol>ibuprofen>phenylbutazone>aminopyrine>mepirizole>aspirinであった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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