クレンブテロールの添加がラットの成長,屠体成分,消化率,窒素およびエネルギー利用率に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ベータアドレナリン作動薬の一つであるクレンブテロール(clenbuterol)を飼料に添加することによって,体脂肪の少ない,筋タンパクの多い肉を生産する可能性を探るために成長中のラットを用いて屠体分析を含む成長試験を行なった.併せて,消化率ならびにエネルギー,窒素の利用率に及ぼす影響等も検討した.試験区として,クレンブテロール無添加区(対照区),0.01ppm添加区,0.1ppm添加区,0.1ppm添加飼料を21日間給与後に中止した区(クレンブテロール中止区)ならびに0.2ppm添加区の5区を設け,28日間の試験を実施した.成長試験の結果,0.1ppm添加区と0.2ppm添加区の増体量は対照区を上回り,0.01ppm添加区では対照区を下回ったが,いずれも有意差とはならなかった(p>0.05).クレンブテロール中止区では,クレンブテロール添加を止めた後に増体量の減少がみられた.また,屠殺時に臓器重量の計測を行なったが各区間に差異はみられず,血清総タンパク,血清グルコース,血清尿素態窒素および血清遊離脂肪酸含量についても有意差は認められなかった(p>0.05).屠体の脂肪含量は,クレンブテロール添加区は,対照区に比べて,いずれの添加水準でも有意(p<0.05-0.01)に減少し,その減少率は12-18%にも達した.一方,層体の窒素含量は0.1ppm添加区と0.2ppm添加区で対照区よりも有意(p<0.05)に高く,その増加率は約5%であった.乾物,窒素および総エネルギーの消化率には各区間に差がみられなかった.また光学顕微鏡による肝臓および副腎の組織学的観察においても添加区と対照区の差異は認められなかった.エネルギー利用率[エネルギー蓄積量/(代謝エネルギー摂取量-維持の代謝エネルギー量)]については,クレンブテロールの添加は有意の影響を及ぼさなかった.しかし,窒素の利用率(窒素蓄積量/可消化窒素摂取量)は0.1ppm添加区と0.2ppm添加区で対照区に比べて8-10%の改善効果がみられた(p<0.05).
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
関連論文
- 高温環境と飼料への油脂添加が肥育豚の体脂肪の脂肪酸組成に及ぼす影響
- 高エネルギ-飼料給与ラットにおける胚の生存性の系統間差(短報)〔英文〕
- 肥育牛の窒素排泄量の推定
- 肥育牛の窒素排泄量の推定
- 家畜の糖輸送タンパク質4型(GLUT4)のC末端の比較(短報)
- 飼料中のγリノレン酸がブタのGLUT 4タンパク質発現に及ぼす影響
- 飼料中のγリノレン酸がブタのGLUT 4タンパク質発現に及ぼす影響
- 豚の妊娠後期における子宮と胎児の発育
- 要因解析法による妊娠豚の代謝エネルギ-要求量の試算
- 低温環境下における豚のエネルギ-,蛋白質および脂肪蓄積量の変化
- 肥育豚および妊娠豚におけるメタンの排泄量
- 妊娠豚における維持に要する代謝エネルギ-量〔英文〕
- 豚を単飼した場合の寒冷環境下におけるエネルギ-増給量〔英文〕
- クレンブテロ-ルの添加がラットの成長,屠体成分,消化率,窒素およびエネルギ-利用率に及ぼす影響〔英文〕
- ラット胎児に対する蛋白質の利用率
- 妊娠および非妊娠ラットにおける維持に要する蛋白質量の比較検討
- 豚における消化率の変動要因-3-ケ-ジ飼いと平飼いにおける消化率の比較
- 豚における消化率の変動要因-2-1日の採糞時間帯および給餌回数による消化率の変動
- 豚における消化率の変動要因-1-消化率におよぼす飼料の給与量と体重の影響
- ラット胎児に対する飼料エネルギ-の利用効率--利用効率の推定値の信頼性
- ラット胎児に対する飼料エネルギ-の利用効率--妊娠中期および後期までにおける推定値の比較
- ラット胎児に対する飼料エネルギ-の利用効率--飼料の自由摂取ならびに成熟ラットによる検討
- 妊娠ラットにおける代謝エネルギ-の最小要求量と繁殖成績
- 成長中のラットにおける蛋白質およびエネルギ-蓄積量の制御〔英文〕
- 妊娠期におけるラットの維持養分量に関する再検討〔英文〕
- 妊娠ラットにおける蛋白質とエネルギ-蓄積量の変化〔英文〕
- 妊娠ラットの維持に要するエネルギ-量と蛋白質量〔英文〕
- ニワトリおよびブタからの環境負荷物質の低減化に関する栄養飼料学的研究の動向
- γ-リノレン酸油摂取が肥育豚の背脂肪厚および肝臓の脂肪酸分解酵素活性に及ぼす影響
- γ-リノレン酸油摂取が肥育豚の背脂肪厚および肝臓の脂肪酸分解酵素活性に及ぼす影響
- 栄養素の配分に関連する遺伝子の構造・機能解析研究
- 日本飼養標準・豚(1998年版)の主な改訂内容について
- 妊娠ラットにおける代謝エネルギーの最小要求量と繁殖成績
- ラット胎児に対する飼料エネルギーの利用効率-利用効率の推定値の信頼性-
- ラット胎児に対する飼料エネルギーの利用効率-飼料の自由摂取ならびに成熟ラットによる検討-
- ラット胎児に対する飼料エネルギーの利用効率-妊娠中期および後期までにおける推定値の比較-
- 成長中のラットにおける蛋白質およびエネルギー蓄積量の制御
- 妊娠期におけるラットの維持養分量に関する再検討
- 妊娠ラットにおける蛋白質とエネルギー蓄積量の変化
- 妊娠ラットの維持に要するエネルギー量と蛋白質量
- 豚回腸末端アミノ酸消化率に対する飼料添加中鎖脂肪および長鎖脂肪の影響
- 豚の妊娠後期における子宮と胎児の発育
- 成長中のラットにおける蛋白質および脂肪蓄積に要する代謝エネルギ-量とその利用効率
- 低温環境下における豚のエネルギー,蛋白質および脂肪蓄積量の変化
- 飼料・栄養研究--そのレビュ-と明日(11)豚の栄養・飼料における最近の研究動向
- クレンブテロールの添加がラットの成長,屠体成分,消化率,窒素およびエネルギー利用率に及ぼす影響
- 豚を単飼した場合の寒冷環境下におけるエネルギー増給量
- 妊娠豚における維持に要する代謝エネルギー量
- 肥育豚および妊娠豚におけるメタンの排泄量
- 要因解析法による妊娠豚の代謝エネルギー要求量の試算
- 妊娠および非妊娠ラットにおける蛋白質の消化率と尿への窒素の排泄量の比較
- ラット胎児に対する蛋白質の利用率
- 妊娠および非妊娠ラットにおける維持に要する蛋白質量の比較検討
- 蒸煮処理カラマツの肥育用飼料における粗飼料としての利用