双子分娩牛の発情回帰および血中代謝産物濃度に及ぼす飼料給与量の影響

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双子を分娩•哺育した黒毛和種,日本短角種雌牛17頭について分娩後の繁殖機能回復と血中代謝産物濃度の変化を調査し,単子を分娩•哺育した20頭と比較検討した.双子分娩牛は分娩前2ヵ月から分娩後3ヵ月の期間を日本飼養標準•肉用牛(1987年版)に対してTDN 100%あるいは120%で飼養した.得られた結果は以下の通りである.TDN 160%を給与した双子分娩牛(6頭)の分娩から初回排卵までの日数は対照の単子分娩牛とほとんど差がなかったが,初回発情までの日数は有意(P<0.01)に長くなった.また,血中のグルコース(GLU),ヒドロキシ酪酸(3-HB)および遊離脂肪酸(NEFA)の濃度は,単子分娩牛と同じTDN 100%の給与条件で飼養した双子分娩牛においてケトーシス様の異常値を示したものもあり,これらの双子公娩牛は明らかにエネルギー不足に陥っていた.一方,TDN 120%で飼養した双子分娩牛(11頭)では,血中のGLU,3-HBおよびNEFAの濃度の推移は単子分娩牛の値に近く,エネルギー不足の徴候を認めなかった.また,分娩から初回排卵および初回発情までの日数も単子分娩牛との差が小さくなった.以上との結果から,黒毛和種および日本短角種の双子分娩牛においては日本飼養標準に示された養分要求量に対して120%で飼養することで,エネルギー不足による分娩後の発情回帰遅延を改善し得ると考えられた.
社団法人日本畜産学会の論文

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