早期離乳牛における分娩後の繁殖機能及び血中プロジェステロン濃度の変化
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概要
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肉牛の分娩後の繁殖機能と哺乳との関係を明らかにするために,分娩直後(0日離乳区),分娩後30日目(30日離乳区)及び分娩後60日目(60日離乳区)に離乳した黒毛和種27頭について分娩後の初回排卵,発情回帰,受胎性及び血中プロジェステロン濃度の変化を調べて比較検討した.0日離乳区の初回排卵は分娩後11日目頃に集中して起こり,哺乳している区に比べて有意に早まり,その約半数は明瞭な発情行動を伴った.一方,30日離乳区及び60日離乳区の初回排卵はすべて無発情排卵であり,分娩後初回排卵までの日数(23.4±5.9日及び33.3±16.1日)には両区間に有意差は認められなかったが,60日離乳区の分娩後の体重減少の大きかった牛において初回排卵が遅延する傾向にあった.また哺乳日数の長い区ほど第2回目排卵においても無発情排卵を繰り返す牛が多くなり,分娩後初回発情までの日は哺乳日数の長い区ほど長くなった(16.3日,40.3日,56.8日,P<0.01).初回排卵後のピーク時の血中プロジェステロン濃度は0日離乳区で高い値を示す傾向があったが,いずれの区においてもこの値は第2回目排卵後の値に比較して低く,また初回排卵から第2回目排卵の間隔も次回の排卵間隔に比べて短く,このことから初回排卵後に形成される黄体の多くは十分な機能を持たないと考えられた.分娩後40日目から授精を行った結果,分娩から受胎までの間隔及び受胎に要した授精回数には各区間に差はみられなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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