乾草のリグニン含量がめん羊の反芻胃および盲腸の内容物の粒度分布に及ぼす影響

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乾草のリグニン含量が,乾物摂取量および反芻胃,盲腸,大腸における乾物,セルロース,酸不溶性リグニン(ADL)の粒度分布に及ぼす影響を検討するために,8および12頭のめん羊を用いてそれぞれ消化試験と屠殺試験を行なった.めん羊には,ADL含量4.3%あるいは,8.3%のオーチャードグラス1番刈り乾草(乾草1および乾草2)のどちらかを生体重の2%の水準で給与した.屠殺試験では,飼料給与後2および24時間で屠殺し,消化管内容物の全量を計量•採取し,大粒子(LP),中粒子(MP),小粒子(SP)および微粒子ならびに液状部分(FPL)の4分画に湿式でふるい分けた.ふるいの目開きは,1.180,0.300および0.045mmであった.得られた結果は,以下のとおりであった.乾物,セルロースおよび細胞内容物の消化率は,乾草1が乾草2より有意に高かった.飼料は制限給与であったが,実用的飼養条件では,乾草中のADL含量により乾物摂取量は異なると推察された.反芻胃内の乾物量が飼料給与後2時間より24時間で大きく減少したが,乾草1では,LP分画の減少が大きく貢献していた.乾草2では,LPおよびそれ以下の小さな粒子分画が貢献していた.セルロース量も乾物と似たような様相であった.盲腸および大腸のLP分画は,わずかな量であった.乾物量は飼料給与後の時間により変化がなかった.乾草1では,反芻胃内のセルロースのSP分画が24時間で減少し,SP粒子中のセルロース含量が,MP粒子のそれより少なかった.FPL分画中のセルロースは,量および含量ともに大きく減少した.乾草2では,セルロースのSP分画が時間により増加し, ADLのそれが減少した.SP分画のセルロース含量は,MPのそれより少なく, ADL含量は多い傾向にあった.盲腸内の粒度分布は,飼料給与後の時間による変化はないが,両乾草とも,SP分画のセルロース含量が,LPおよびMP分画より少なくなる傾向にあった.リグニン含量が多いと乾物摂取量および反芻胃内の繊維消化に悪影響を及ぼすが,反芻胃からの小さな粒子の流出を促進する傾向にあると推察された.
社団法人日本畜産学会の論文

乾草のリグニン含量がめん羊の反芻胃および盲腸の内容物の粒度分布に及ぼす影響

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