ヘモグロビン誘導体の熱変性に関する速度論的比較
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概要
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ヘムタンパク質誘導体による熱安定牲の差異を明らかにするために,ブタのへモグロビン(Hb)の熱変性の挙動を反応速度論的に試験した.酸素型(O2Hb),還元型(RHb),メト型(MHb)の各誘導体について熱変性を比較した.Hbの熱変性温度には60°C以上であり,熱変性はMHb>O2Hb>>RHbの順に速かった.熱変性速度定数k(70°C)より求めたMHb,O2Hb,RHbの半減期はそれぞれ22秒,2分,162分となり,誘導体間に多大な違いが認められた.還元剤(ハイドロサルファイトナトリウム)が共存すると,RHbの熱変性は極めて遅くなったが,酸化剤(フェリシアン化カリウム)が共存しても,MHbの熱変性速度には影響しなかった.各誘導体の熱変性はアレニウスプロットに従い,活性化エネルギーはいずれも80-85kcal/molとなった.RHbにおいては77°Cに転移点が認められ,77°C以上では151.1kcal/molとなった.各誘導体は,加熱により最終的にMHbとなって変性し,O2Hb, RHbは中間体としてMHbを経由していると考えられた.,凍結,凍結乾燥により熱安定性は低下し,貯蔵中もさらに低下した.したがって,加熱による食肉の変色の程度は,ヘムタンパク質誘導体の混在割合によって大きく異なり,また貯蔵状態で異なることが示唆された.
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