菜種粕の飼料的利用に関する研究 : VIII. 菜種粕熱水処理の効果 (4) 熱水処理を反復した場合の効果について
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概要
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発育や甲状腺に対する菜種粕の特異作用の防止について,熱水処理の効果をより明らかにするために,熱水処理を3回あるいは5回反復施した菜種粕(反復熱水処理粕)を供試し,白レグ雌ヒナについて,第6報19)に準じて試験を実施し,発育,甲状腺重量,肝臓の還元型グルタチオン(GSH)および甲状腺のヨード量におよぼす反復熱水処理の影響について調べた.なお,菜種粕とチオウラシル(TU)の作用についても比較した.無処理の菜種粕の給与による甲状腺の肥大,肝臓のGSHの増加および甲状腺のヨード濃度の低下は有意であつたのに対し,同ご量の反復熱水処理粕を与えた場合には,これらの変化はほとんど認められなかつた.また,0.03%のTU添加飼料の有する抗甲状腺作用は,菜種粕20〜30%配合飼料のそれよりも強いことが分かつた.甲状腺の全ヨード量について,各群間にはほとんど差異が認められなかつたことは,菜種粕20-30%配合,あるいはTU0.03%添加飼料のあらわす抗甲状腺作用がそれほど強くないことを示すものと思われる.発育に関しては,見かけ上熱水処理の効果がさほど顕著にあらわれないようであつたが,既報の特異成分についての著者の解釈から,本実験で供試した菜種粕には,甲状腺に作用する特異成分はかなり含まれるが,発育に関与する特異成分は少ないためてあろうと考察された.以上の結果は,甲状腺に対する菜種粕の特異作用の防止に熱水処理が有効であることを,これまての熱水1回処理粕の場合よりもさらに明確にしたものであり,また菜種粕の特異成分についての著者の解釈を支持するものと考える.
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