菜種粕の飼料的利用に関する研究 : IX. 成長と甲状腺に対する特異作用について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒナを用いて従来の方法に準じて3回の実験を実施し,おもに菜種粕の成長と甲状腺に対する特異作用を,二種類の抗甲状腺物質,すなわちチオウラシル(TU)あるいはチオシアン酸カリウム(KSCN)のそれと比較することによって,菜種粕の特異作用に対する著者らの知見を確認しようとした.10〜15%の菜種粕配合飼料を与えた場合に,飼料効率は低下し,ヒナの成長はいくらか劣ったが飼料摂取量には変わりがなかった.また,その甲状腺重量は有意に増加していた.甲状腺の重量増加を目安とすれば,菜種粕を10〜15%配合した飼料の抗甲状腺作用は,0.01〜0.015% TU添加飼料あるいは0.06〜0.09% KSCN添加飼料のそれにほぼ等しかったが,甲状腺のョード量の測定結果から,これらの各飼料の抗甲状腺作用はそれほど強くないものとみなされた.なお,これらの量のTUあるいはKSCNを添加した飼料をヒナに与えて甲状腺重量に有意な増加がみられた場合でも,飼料摂取量,飼料効率および成長には悪影響は認められなかった.このことから,本実験における菜種粕配合飼料の給与による成長の低下は,その飼料効率が低いことによるものと考えられた.以上の結果に基づいて,菜種粕の成長と甲状腺とに対する特異作用の関連性について考察し,菜種粕の給与による成長の低下は,甲状腺の肥大が直接的な原因にはならないというこれまでの著者らの知見を確かめ得た.
著者
関連論文
- ブタ血液グロビンの消化性に及ぼすサクシニル化の影響
- 暑熱ストレスおよびL-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウムがニワトリヒナの血漿と肝臓のチオバルビツール酸反応物および肝臓のタンパク質カルボニル濃度に及ぼす影響
- ラジカルイニシエーター投与ヒナに及ぼすL-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウムの飼料添加の影響
- Achromobactre Protease I を利用する小麦グルテンの栄養機能の改善 第3報 小麦グルテン修飾物の消化性
- 高温環境下におけるアスコルビン酸投与がニワトリヒナの成長と体内アスコルビン酸量に及ぼす効果
- ニワトリヒナにおけるアスコルビン酸大量投与の影響
- 甲状腺機能の変動がニワトリヒナの血液アスコルビン酸濃度におよぼす影響
- 菜種粕の飼料的利用に関する研究 : IX. 成長と甲状腺に対する特異作用について
- 菜種粕の飼料的利用に関する研究 : VIII. 菜種粕熱水処理の効果 (4) 熱水処理を反復した場合の効果について
- 菜種粕の飼料的利用に関する研究 : VI. 菜種粕熱水処理の効果.(2)ヒナにおける効果
- 菜種粕の飼料的利用に関する研究(3)シロネズミおよびヒナの甲状腺組織におよぼす影響 : VII. 菜種粕熱水処理の効果
- ニワトリヒナ体内の結合型及び遊離型アスコルビン酸量に及ぼすアスコルビン酸大量投与の影響
- ラットの体内アスコルビン酸量およびアスコルビン酸合成酵素活性に及ぼすD-ガラクトノ-γ-ラクトン投与の影響
- モルモットの結合型及び遊離型アスコルビン酸量に及ぼすアスコルビン酸欠乏飼料給与の影響
- ニワトリにおける結合型及び遊離型アスコルビン酸の体内分布
- ヒスタミン添加飼料を給与したニワトリヒナに対するアスコルビン酸投与の影響
- 菜種粕のオキサゾリジンチオンおよびイソチオシアネート含量におよぼすγ線照射および蒸熱処理の影響
- 菜種粕に対するγ線照射の影響,とくにオキサゾリジンチオンおよびその他の成分の量的変動について
- 低グルコシノレ-ト菜種を原料とする菜種粕の給与がヒナにおよぼす影響
- 菜種粕の飼料的利用に関する研究-11-製造条件の違いが成長および甲状腺におよぼす影響