サイレージ調製時における青刈飼料中の硝酸塩含量の変化について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
飼料作物中の硝酸塩のサイレージ調製による変化を検討するにあたり,詰め込み材料の個体,部位などによる硝酸塩含量の違いから生ずるかもしれない誤差をできるだけ少なくすべく,全試料を分析に供することが可能な超小型サイロを考案し,つぎのような試験を行なった.1) 第1試験では播種後32日,草丈約170cmのトウモロコシを1cmに細切し,よく混ぜた後,200gずつ円筒状の塩化ビニリデンフイルムに詰め込んだ.つぎに真空ポンプで充分空気を除いて密封し,地下約50cmのところに埋めた.そのとき詰め込みに際しブドウ糖を添加する区を設け,1区無添加,2区0.5%,3区1.0%,4区2.0%添加し,21日後にとり出した.その結果,ブドウ糖を添加した区ではpH3.3-3.5,全窒素に対するアンモニァ態窒素の比2.0-3.7,酪酸痕跡の良質のサイレージができた.また硝酸態窒素含量はサイレージに調製するとかなり少なくなることが知られた.2) 第2試験では,ブドウ糖の添加が調製中の硝酸態窒素の消失に及ぼす影響を検討するため,1,2,3%のブドウ糖を添加してサイレージを作った.いずれの区でもpH3.8前後の良質のサイレージがえられ,硝酸態窒素の消失率はブドウ糖の添加量の如何にかかわらず25〜27%であった.3) 第3,第4試験では,1%のブドウ糖を添加してサイレージを作ったところ,硝酸態窒素の消失率はトウモロコシのみの場合27%,大豆と混播したトウモロコシの場合30%であった.また個々のサイロについてみると詰め込み材料中の硝酸態窒素含量と調製中の消失量との間にはr=0.90の正の相関があり,これは0.001%水準で高い有意性があった.すなわち詰め込み材料中の硝酸態窒素含量が多いほど,調製中に多くの硝酸態窒素が消失した.この結果,硝酸塩含量がとくに多い粗飼料はサイレージに調製することによって,それがかなり少なくなり,場合によっては家畜にとってより安全なものとなる可能性があるものと考えられた.
著者
関連論文
- 分娩前後における肉用種繁殖雌牛と新生子牛のミネラル栄養状態に関する研究 : 2. 銅及び亜鉛について
- 分娩前後における肉用種繁殖雌牛と新生子牛のミネラル栄養状態に関する研究 : 1. リン,カルシウム及びマグネシウムについて
- マレーシアにおける牛肉生産モデルの適用
- 東南アジアの農林水畜産資源の現状と将来-5-東南アジアの畜産資源の現状と将来(シンポジウム)
- インドの家畜飼養の実態
- インド畜産の概況
- フィリピンの畜産事情
- ノルアドレナリンを投与されたラットの採食に対するベータ阻害剤プロプラノロールとセロトニン阻害剤シプロヘプタジンの影響
- 西日本における肉用種繁殖雌牛のミネラル栄養状態に関する研究
- 肉用種繁殖用成雌牛の放牧時におけるリンの栄養状態に関する調査
- 夏季放牧のセレン栄養について
- インドネシアの畜産事情
- サイレージ調製時における青刈飼料中の硝酸塩含量の変化について
- 本邦産牧草および青刈飼料作物中のセレン含量(短報)