家畜の産子性比について豚(1)
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概要
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豚の産子性比を知るために,まず北海道地区として北海道立滝川畜産試験場の4品種と交雑種(Y, L, H, B, Hyb.)の総産子数21,346頭について,その性比を各種の条件別に分析して次のような結果を得た.1) 総計では,性比は雄に偏っている.これを品種別にみると,Y,Lは雄に,Bは雌に偏りを示すが,HとHyb.では偏りはみられない.品種間の性比差はBと他品種間でのみ有意である.2) 使用した父,母豚ともに,個体の産子性比が雄または雌に偏るものがある.これら産子性比の偏りを示すものの家系調査の結果からは,遺伝要因存否の断定は困難である.3) 産次に関しては,4品種と交雑種合計では数産次で雄に偏りを示し,産次を種々に区分しても雄に偏りを示した.しかし,結果は品種によって区々である.4) 同腹子数については,4品種と交雑種合計とYは同一傾向を示し,子数別では4区で雄に偏りを示し,子数を大づかみに区分した群別にみると2つの群で雄に偏る.他品種では結果は区々で,Bでは雌に偏りを示す群がある.5) 季節については,4品種と交雑種合計とYはほぼ同様傾向を示し,各季節において雄に偏りを示し,季節別の性比間には有意の差はみられない.しかし,品種によっては,季節によって雄に偏ることのあるもの(L),偏りのないもの(H, Hyb.),雌に偏ることがあり季節間にも性比に有意差のあるもの(B)などがあった.季節別に品種間の性比の差をみると,出生時には,夏と秋においてBと他品種との間に有意の差がみられる.これは,Bと他品種との間の性比の有意差は夏と秋に限定されていたことを示すものである.6) 自然交配と人工授精についてみると,自然交配では4品種と交雑種合計とYは雄に偏るが,他品種では偏りはみられない.人工授精では,4品種と交雑種合計,YとLが雄に偏りを示す.自然交配と人生授精間の性比の差は4品種と交雑種合計および各品種ともに有意ではない.7) 父豚の年令についてみれば,性比は4品種と交雑種合計とYはほぼ同様傾向を示し,1〜4年令において雄に偏りを示す.品種によっては特定の年令で偏りを示すものと,示さないものとがあった.8) 母豚の年令との関係では,性比は4品種と交雑種合計とYは1,2,5年令で雄に偏りを示したが,この場合にも品種により特定の年令で偏りを示すものと,そうでないものとがあった.9) 歴年度別では,4品種と交雑種合計で4ヵ年,Yも4ヵ年,Lは1ヵ年において雄に偏りを示すが,雌に偏った年度はない.年度をいろいろに区分して性比を比較したが,いずれにおいても有意の差はみられない.
著者
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