現場成績における岡山系黒毛和種の枝肉性状に及ぼす血統構成の影響
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概要
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主として昭和49〜51年度に集められた岡山系黒毛和種の枝肉調査成績,1,313頭分につき,血統を調査し,枝肉性状と血統構成の関係を分析した.10頭以上の産子をもつ父牛の子1,205頭について,独立変数を父牛,生後日齢,材料牛および母牛の近交係数,母牛に対する18祖先の遺伝的寄与率とし,1日当り増体量,枝肉歩留り,脂肪交雑,ロース芯面積の最小二乗分散分析を行なった.父牛の効果は脂肪交雑では1%水準で有意であったが,他の従属変数では有意でなかった.また,脂肪交雑においても,最小二乗平均値には父牛間の差が少なく,これを用いた種雄牛の選抜には多くを期待しえないと思われた.生後日齢は1日当たり増体量には負,枝肉歩留り,脂肪交雑,ロース芯面積には正の,いずれも有意な偏回帰を示した.母牛に対する18祖先の遺伝的寄与率が,1日当り増体量,枝肉歩留り,ロース芯面積に対して示す偏回帰は,いずれも有意でなかったが,脂肪交雑に対しては,いくつかの祖先の寄与率が1%水準,あるいは5%水準で有意であった,このことは,種雌牛に村する祖先の遺伝的寄与率,およびその組合わせによって推定されるその牛の血統構成を指標として,種雌牛を選抜することが脂肪交雑の向上に有効なことを示している.したがつて,この手法を種雄牛の選抜と同時に行なうことで,岡山県黒毛和種の産肉能力育種を促進できるものと考えられる,またこの分析結果から脂肪交雑の遺伝率は0.529と推定されたが,母牛に対する祖先の遺伝的寄与率を要因に加えたため,この数値は過大に推定されていると思われる.1日当り増体量,枝肉歩留り,ロース芯面積については,非常に小さい遺伝率が推定された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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