父母の血統構成が岡山系黒毛和種枝肉の脂肪交雑評点に及ぼす影響
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概要
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複数祖先の遺伝的寄与率で表わした父牛および母牛の血統構成が,枝肉の脂肪交雑評点に及ぼす影響を調べようとして,岡山系黒毛和種1,313頭の枝肉調査成績を分析した.母牛に対する遺伝的寄与率が2%以上の祖先から,直系血縁関係をもたぬ祖先グループを3組選び,このグループごとに最小二乗分散分析を行なった.独立変数として,各祖先の調査牛の父に対する遺伝的寄与率と,母に対するそれとの和,および差の絶対値を用い,ほかに,調査牛,父牛,母牛の近交係数と,調査牛の生後日齢を独立変数に加えた.従属変数は枝肉調査成績のうち,脂肪交雑評点のみをとりあげた.父および母に対する遺伝的寄与率の和は,Aグループ祖先を用いた分析で9頭中4頭の祖先に正の有意な回帰が得られた.Bグループでは7頭中3祖先,Cグループでは7頭中2祖先に同様な正の有意な回帰が得られた.B,Cグループ祖先のうち,寄与率の和が有意であったものは,Aグループで和の回帰が有意であった祖先の子孫であった.父および母に対する祖先の遺伝的寄与率の差の絶対値は,Aグループ祖先を用いた分析で,1祖先に正,3祖先に負の有意な回帰が得られた.このことは,脂肪交雑評点について,遺伝子の非相加効果を無視できぬことを推測させる.以上のことから,岡山系黒毛和種の脂肪交雑評点を改良するには,遺伝的寄与率の父母の和が正の回帰を得た祖先に注目し,その遺伝的寄与率を高めるように選抜を行なうこと,父母の差が正の回帰を得た祖先を中心とした亜系を造成し,3亜系の輪番交配によって実用牛を生産することが有効であると推測された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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