低山地開発によって造成した和牛牧場の水のミネラル含有量について
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概要
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低山地開発で造成した和牛牧場における繁殖障害との関連を想定して,牛の飲料水として利用してきた雑用水と,その水源である井戸水のミネラル含有量を原子吸光光度法で測定し,対照としてとった市の上水道水と比較した. その結果,井戸水,雑用水ともにCa,Mg,Fe,Mn含有量が市水よりも高く,とくにFeは井戸水で市水の約500倍,雑用水で20倍以上,Mnは井戸水,雑用水とも帯水の100倍以上の含有量を示した.また,雑用水はその水源である井戸水に比べてFe含有量が著しく減少し,Ca,Mg,Cu,Zn含有量が増加していた.これは井戸水が沈砂槽,貯水槽に送水,貯留される間にFeが沈殿し,過去の沈殿物から他のミネラルを溶出したものと考察された. 井戸水のFeは調査期間中にかなり減少し,Mnも漸減傾向を示したが,これは隣接の空港造成のために水脈に変化があったのではないかと考察された.雑用水のMnとFeは調査期間の最初と最後に低く,途中が高い傾向を示し,温度との関係が考察された.和牛の受胎率が夏期にとくに低く,冬期は比較的良好であったこととの関連が考えられたが,MnやFeの摂取許容限界は非常に高いので,単独で過剰の障害を起こすことはないと考えられた。
- 岡山大学の論文
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