岡山系黒毛和種繁殖雌牛集団の血統構成的特色
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概要
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岡山系黒毛和種の育種には,血統構成すなわち複数祖先の遺伝的寄与率が重要な手がかりを与えると考えられるので,昭和47〜49年頃の繁殖雌牛と思われる集団1.313頭(第1集団)と昭和55年の繁殖雌牛集団972頭(第2集団)について,雄祖先,雌祖先の遺伝的寄与率を調べた。その結果,1920年生まれの古い雄祖先である第十三花山が両集団に18%前後の高い遺伝的寄与率を示し,この集団が第十三花山を中心とした系統繁殖集団であることが認められた。また,昭和15年頃までに生まれた祖先には両集団に同程度の遺伝的寄与率を示すものが多かったが,以後のものには第1集団より第2集団に著しく高い遺伝的寄与率を示すものがあり,これは近年に第十一松田,第二中山の両種雄牛が集中的に利用された結果と認められた。全般に遺伝的寄与率には地域差が少なかったが,一部には特定地域に強い遺伝的寄与率を示す雄祖先も認められた。また,岡山系以外の雄祖先では,兵庫系にかなり高い遺伝的寄与率を示すものがあったが,これらは古い時代のもので集団にほぼ均一に寄与していた。他の兵庫系,鳥取系の雄祖先は比較的近代の種雄牛を通じて集団に寄与したものが多くて集団全体に寄与しておらず,全体として岡山系黒毛和種は他の諸系統から独立した育種集団と認められた。なお,雌祖先にも高い遺伝的寄与率を示すものがあったが,これらはすべて,子あるいは孫の有力な種雄牛を通じて集団に寄与することが明らかであり,遺伝的寄与率を利用した育種には雄祖先のみに注目すべきことが認められた。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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